引きこもり状態のお子さんのことを“家族の問題”として悩み、試行錯誤を続けてどれぐらいの月日が経ちますか?
“何とかしてあげたい”という思いが人一倍あっても、家族だけで解決しようとすると、行き詰まり・手詰まりになり、ただ時間だけが過ぎて行く…という時が来ます。
親子の関係がよかったとしても、社会参加を望むなら外の世界の様々な問題に立ち向かえる力がなければ、自立してやっていけません。
お子さんを外の世界につなぐ役割は、第三者に任せて下さい。
前に進むために
社会とつながって
いくために
自立していくために
親が手離すことでお子さんが家族以外の人や場に繋がっていく…それが「親離れ・子離れ」であり、自立の第一歩なのです。
あなたも、親には言えずに友人に相談した経験はありませんか?
レンタルお姉さん・お兄さんは、「近所に住むお姉さん・お兄さん」のような存在です。
教えるのでも指導するのでもなく、近い目線で話し、ちょっとしたお節介をする感覚で、お子さんを外の世界につないでいきます。
家族ではない第三者だからこそできることがあります。
第三者による訪問は、家の中に新しい風を運びます。
もちろん、お子さんにとって初対面の人間ですから、訪問を重ね、少しずつ慣れていくことで、お子さんは心を開いていきます。
期限は3か月からで、大きな変化まで1年程度を目安にしています。日本全国に訪問しています。
立ち止まっている若者たちは、考え過ぎて自らハードルを上げてしまった人も多いです。コミュニケーションを重ねながら「自分なりの歩みでいいんだよ」と柔らかく背中を押して外の世界に繋いでいます。
寮生を経て、今はレンタルお兄さんとして葛藤している若者と接しています。「世間はこうだから...とかは関係なく、人生は楽しんだもの勝ち。でもひとりのままじゃつまんないよ」ということを自分の生き様で伝えています。
「ただ会いに行くだけで違うんだよ」。先輩お姉さんの言葉です。
訪問先では、若者にご飯を作ってもらったり、ゲームを教えてもらったり、日頃のグチを聞いてもらったり…「ただ以上」のものをもらいながら「ただ会いに行く」を続けています。
(2019年に取材を受けたイギリスBBCの番組です)
1人1人の状況に合わせ、支援の計画を立てて進めていきます。ご本人と話ができるようになったら、ご本人のやりたいことも聞きながら、支援をしていきます。
※以下の例は、いくつかの事例を組み合わせたものです。
専門学校を卒業後、バイトを転々とする。ここ2年は全く働いていない。週に1~2回はコンビニや本屋などに出かける。
1ヶ月目 | 手紙、電話をかけると出てくれる |
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2ヶ月目 | 初訪問、部屋は汚いから外がいいと本人が希望、近くの飲食店で会う その後はプロ野球観戦など、本人が行きたい場所への外出を重ねる |
3ヶ月目 | 数回目の外出で「できれば家を出たい」と本人が言う こちらのアドバイスを元に、「初期費用と、3ヶ月間の生活費は出す」を条件に一人暮らしが決定 |
4ヶ月目 | 一人暮らしスタート、生活の様子を見ながらバイト探しの相談に乗る |
6ヶ月目 | バイト開始、休みの日に遊びに行って話を聞くことを続ける |
9ヶ月目 | バイトと生活が安定していると判断し、支援終了 |
もともと人付き合いは苦手。高校までは何とかやっていたが、大学で不登校に。中退し、10年間引きこもり。自室からほとんど出ず、昼夜逆転でずっとゲームをしている。親子の会話はなく、食事は親が寝静まってから自室に運ぶ。
1ヶ月目 | 手紙は破り捨ててある、電話には全く出てくれない |
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2ヶ月目 | 反応はないが、手紙と電話を続ける |
3ヶ月目 | 訪問するがドアを開けてくれず、ドアの前から語りかけ |
5ヶ月目 | 訪問時に「今度はドアを隔てずお話してもいいですか?」と提案 次の訪問で「ドアを開けてもいいですか?」と語りかけるが返事なし、ドアを少しだけ開けると背中が見え、背中に向かって廊下から話しかける |
6ヶ月目 | ずっと無反応だったが、少しずつ返事をしてくれるように |
9ヶ月目 | 訪問時はゲームで楽しく遊べるまでになった 入寮の話をするが拒否 |
10ヶ月目 | 寮生と一緒に訪問、好きなゲームの話などで盛り上がる |
1年目 | 入寮を了承、迎えの車に乗り込み入寮 |
一人暮らし。大学を卒業し就職したが、人間関係のトラブルで4年で退職。半年後に親に助けを求め、親が生活費を振り込むように。そのまま6年が経過。ここ数年はLINEでのやり取りのみで、親が部屋に行ってもドアを開けてくれない。
1ヶ月目 | 手紙、電話には反応なし |
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2ヶ月目 | 訪問開始、チャイムを押しても反応なし、ドアの前から話しかける |
3ヶ月目 | 相変わらず反応はないが、届けたものは後で取ってくれている |
4ヶ月目 | 初めて電話に出てくれて、話ができる 次の訪問では家に入れてくれ、職場でつらかったことなど何時間も話してくれた |
5ヶ月目 | 会うたびに色んな話をしてくれる |
6ヶ月目 | 気持ちの整理ができたのかバイトを探し始め、あっさり見つかる |
7ヶ月目 | バイトが問題なく継続しているのを見て、支援終了 |
息子に外に出ることを勧めても、頑なに拒んでいる状態が長く続いていました。
レンタルお姉さんとレンタルお兄さんは、親ではなく本人に寄り添って下さるので、息子もそれが嬉しかったのか、徐々に心を開いていきました。
半年しないうちに、自分で入寮を決めました。
今、息子は、一人暮らしでアルバイトを続けながら、青春を楽しんでいる様子です。
これからも、人生いろいろあると思いますが、見守っていきたいと思います。
息子は口では「卒業する、就職する」と言いながら、留年を繰り返して大学7年になっていました。
レンタルお兄さんに会うようになると、結構いろいろ話すようになったみたいで、お兄さんに「大学にはもう戻るつもりはない」って話したらしいです。がっかりさせると思って、親には大学をやめるとは言えなかったみたいですね。
寮生活にも誘ってもらったみたいですけど、「それなら一人暮らしする」と言って、本当にアパート探しに自分で動いて、すぐアルバイトも始めました。
きっかけをつくってやればちゃんと自分から動く力があったのだなと思いました。
今まで訪問をお願いしていたところは、進展がなかったり、ちょっとトラブルがあったらすぐ終わってしまい、続かなかったです。
でも、ニュースタートのレンタルお姉さんはそこで終わらないで、いろんな方法を考えてくれて、これもある、あれもある…ってやってもらったので、それが今につながっているなって思います。