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引きこもり・ニートに親ができること 「平穏な日常を捨てる?」

2016年7月13日

 

 

引きこもり、ニートの子ども。

親として将来は心配だけれど、今は波風の立たない日々を送っていませんか?

 

将来のために子どもを動かすには、今の状況を変えなければなりません。

それは、今の平穏な日常を壊す、ということでもあります。

 

目の前の平穏を守ろうとすると、わが子の引きこもりやニートが長期化してしまいます。

その理由、そして親としてどうすればいいのか、説明していきます。

 

 

 

 

平穏な日常

 

 

子どもが引きこもっている。

子どもがニートである。

 

親にとっては、心配な事態です。

でも日々は大きな波もなく、過ぎていきます。

一見、安定した平穏な日常です。

 

 このままではいけない。

 子どもの将来が心配。

 

でも、子どもと将来や仕事について話そうとすると、日常とは違う空気になります。

「嫌な顔をされるから」

「すっと自室に戻ってしまうから」

「文句を言われるから」

「暴力が出るから」

それを気にして、言い出せない、行動できない、という親が多くいます。

 

暴力や暴言が出ない、一緒に食事にできる、話ができる。

そんな日々を守りたい。

 

そう思うのは、親として当たり前の気持ちです。

ただそれで、引きこもり・ニートの解決につながるでしょうか。

 

 

 


 

 

過保護をやめる

 

 

平穏な日常を過ごす子どもの引きこもり・ニートを解決するために必要な、最初のこと。

それは、親が過保護をやめることです。

 

動かない子どもに手を貸すのは大切です。

でも、やりすぎていませんか?

 

働いていないから、必要だから、小遣いをあげる。

やらないから、子どもの部屋を掃除する。

食べに来ないから、放っておくと食べないから、食事を部屋まで運ぶ。

 

過保護はやめた方がいいと分かっているけれど、心配でついやってしまう。

もう過保護が染みついてしまって、どこまでが過保護なのか分からなくなっている。

またはその自覚もないまま過保護になっている親もいます。

 

親はついつい過保護になり、先に手を回してしまいがちです。

それでは物事に直面して自分で考え動くという、大切なことからも子どもを遠ざけてしまいます。

 

親が過保護をやめることで、子どもを動かしましょう。 

 

親が過保護をやめると、子どもは不自由を感じ、困ることで、本来自分が向かうべきだった問題に立ち返ります。

不自由を何とかしようとして、やっと動きだすのです。

 

ですが困った子どもは当然、穏やかな気持ちではいられません。

イライラして親に当たることもあります。

口をきかなくなる、自室から出てこなくなることもあります。

 

こうして日々の平穏は変わってしまうことがあります。

ですがそこを通過してやっと、子どもが本来の問題を見つめるようになるのです。

 

 

 




親の本気でしか、子どもは動かない

 

 

本人が嫌がり、平穏ではなくなってしまうかもしれない。

そんな大変ことをしなくても何とかならないのか、と思う親は少なくありません。

 

「本人がOKするような提案はないか」

「もっとスムーズにうまくいくような方法はないか」

と言われますが、そんなものはありません。

 

私たちニュースタートは、引きこもり・ニートの子どもを訪問して外へ動かす、という支援を行っています。

訪問する中で、過保護だと感じた部分を具体的に親にお話しし、止めるようお願いすることがあります。

 

ですが、本人が嫌がることを心配して、実行できない親がいます。

すると、子どもは家庭が逃げ場になってしまい、こちらが訪問していろいろ誘いかけても動こうとしません。

いつまでも平行線のまま、時間が過ぎていってしまいます。

 

私たちが外からどんなに働きかけても、内側で親が反対の動きをすれば、子どもに届かない。

親が本気で子どもを動かすように働きかけなければ、解決に向かわないのです。

 

子どもを動かすためにはどんな声かけをすればいいのか、というお問い合わせも、よくいただきます。

ですが、そんな魔法のような言葉もありません。

 

実際に私たちが支援してきたご家庭のうち、親子の対話で解決しました、というケースはほぼゼロです。

対話で解決できる家庭は、そこまで長引かせずに解決しているのでしょう。

 

親がニュースタートの寮に子どもを入れると決断して、手続きも済ませたとたん、本人が働き始めたことがあります。

これが一番スムーズにいったケースでしょう。

親が具体的に行動する中で、その本気さが子どもに伝わり、本人が動きだしたのです。

 

言葉だけで何とかならないか。

子どもが嫌がらないやり方で何とかならないか。

日常の平穏を守りながら何とかならないか。

 

このような弱い気持ちでは、引きこもり・ニートの子どもを動かすことはできません。

親が本気になって初めて、子どもに伝わるのです。

 

 

 


 

 

「平穏」と「こう着」

 

 

親が守ろうとする波風の立たない日々とは、平穏と呼べるのでしょうか。

それは平穏ではなく「こう着」ではないか、と一度考えてみてください。

 

平穏とこう着の大きな違いは、変化や世界の広がりがあるかどうかです。

家庭内に変化があるわけでもなく、子どもが外の世界で変化するようなつながりもなければ、こう着と言えるでしょう。

 

特に子どもの引きこもり・ニート状態が1年以上続いているのであれば、こう着している可能性が高くなります。

 

引きこもり・ニートになって1年もたつと、子どもの動く力や判断力が下がり、自力では解決できなくなります。

そこからは、親やそれ以外の働きかけが必要です。

1年を過ぎたのちも親がうまく働きかけられず、家庭に目立った変化がないなら、こう着している、と考えた方がいいでしょう。

 

まずは今の状況は平穏なのかこう着なのか、きちんと見極めてください。

こう着であったなら、まず家庭のこう着を崩すべきです。

 

いつまでも日々の平穏を優先することは、こう着を続けることです。

問題を先送りするのと同じです。

そうして、引きこもり・ニートは長期化していきます。

 

 

 


 

 

「親子関係が悪くなるのではないでしょうか?」

 

 

本人が望まないことをする。

「それで信頼関係が崩れるのではないか、親子関係が悪くなるのではないか」と心配する親は、たくさんいます。

 

その答えは、「変わりません」です。

 

私たちニュースタートは、20年以上こういった支援活動をしてきました。

卒業から10年、20年を過ぎた親子と話す機会もよくあります。

 

卒業生の多くは、私たちが介入することで、家庭内の平穏が崩れる時期を経験した人たちです。

寮に来てからも、入寮させた親への文句をさんざん言っていた人もいます。

そんな彼らが、卒業して長い時間が経過した今、どんな親子関係になっているでしょうか。

 

ここに最初に相談が来た時と変わらない、という印象なのです。

 

もともと会話をしていた親子は、子どもが落ち着けば、元通り会話するようになります。

ずっと口をきかなかった子どもは、何年も仕事が続いて生活できていても、やはり親には口をきかないままです。

 

支援を依頼してくる時点で、親子関係はすでに出来上がっているのでしょう。

こちらが介入したことにより、急激に親子関係が良くなった、悪くなった、というケースは、覚えがありません。

 

親が働きかけることで、一時的に家庭の中は荒れることはありますが、引きこもり・ニートといった問題が解決してしまえば、元に戻るのです。

何もしなければ、引きこもり・ニートが長引き、家庭の中は変わらない、または暴力が始まるなど悪化する場合もあります。

そうでなくても、引きこもり・ニート期間が長いほど、解決にも時間がかかります。

 

ほんの一時のことで変わるほど、親子関係とは浅いものではありません。

ですから、「関係が悪くなるのでは」という心配は、必要ないのです。

 

それより、引きこもり・ニートが長引くことで増えていくデメリットを考えていただければ、と思います。

 

 

 


 

 

親子関係と、問題解決

 

 

平穏を崩しても親子関係は変わらない、というお話をしました。

ここでもうひとつ、知っておいていただきたいことがあります。

親子関係によって問題解決ができるか、ということです。

 

「親子が仲良くなければ、子どもを動かせない」

「だからまずは、親子関係を良くしないと、話ができるようにならないと」

そう考える親は、たくさんいます。

 

親子関係の良好さ。

子どもが未来に向けて動くこと。

実はこのふたつに、関係性はありません。

 

どんなに仲が良くても、子どもが先へ動かないこともあります。

親子の仲が悪く何年も口を利かないまま、きちんと働いて自活していることもあります。

仲が良くても悪くても、押し出すべき方向に押し出せば、本人は動きだすのです。

 

ですから、家庭内が平穏であるかどうかも、本人が動きだすかどうかとは関係ありません。

 

一生懸命、平穏な日々を追いかける必要はないのです。

家庭の平穏さは、子どもを動かす助けにはなりません。

それどころか、こう着になってしまえば、マイナスにさえなってしまいます。

 

目の前の平穏さにとらわれず、子どもの将来のためになることをしてください。

 

 

 


 

 

家庭内解決は難しい

 

 

平穏な日常を壊してでも、子どもを動かす行動をしなければ、問題は解決に向かいません。

では、具体的にはどんな行動をしたらいいのでしょうか。

 

これは、ひとつの答えに決めることができません。

私たちも家族や本人の状況、これまでの流れを見て、個々に考えるようにしています。

 

親が自分で考えると、「これまでのパターン」から抜け出せず、いつもと少し変えただけの行動になりがちです。

こちらの提案に、予想外だと驚く親は珍しくありません。

親の考えに、「それは逆効果です」とお話しすることもあります。

 

こう着した家庭の中にいる人には、こう着から抜け出す行動はなかなか思いつきません。

 

どんな行動を取るかは、ぜひ第三者の意見を聞いてください。

親戚や友人に相談するか、私たちのような支援機関を利用してください。

 

家庭の問題を家庭内で解決することは難しいのです。

外からの視点を、ぜひ取り入れてください。

 

 

 


 

 

平穏を壊すことを恐れない

 

 

平穏な日常を壊したくない。

波風の立たない今日、明日を過ごしたい。

だから大胆な言動ができない。

 

親はなぜ、そんな気持ちになるのでしょうか。

家庭が平穏で、よく理解しあってこそ、子どもが動くのだと思ってはいないでしょうか。

 

「子どもが目を合わせてくれなくなった」という理由で、訪問の終了を告げてきた親がいます。

極端な例ですが、これでは平穏は保てても、問題は解決しません。

ぎりぎりの平穏を保とうとする努力は、子どもの引きこもり・ニートを長引かせます。

 

「あの時は親を恨んだけど、押し出してもらってよかったと今は思います」

卒業生が、後になってこう話してくれます。

 

家庭が平穏ではなくなることは、親としてはつらいでしょう。

ですが、言うべきことは言い、やるべきことはやるしかありません。

 

優先すべきは、子どもの引きこもり・ニートという問題の解決です。

親の本気の決断、行動に、すべてがかかっています。

 

 

 


 

 

まとめ

 

 

子どもが引きこもり・ニートになっている。

将来が心配だけれど、今は波風の立たない平穏な日常を送っている。

そんな状況のまま、時間が過ぎて行っていませんか。

 

問題解決のためには、親が過保護をやめることが大切です。

親が手を出さなくなり、不自由を感じ、何とかしたいと思って、やっと子どもは動き始めるのです。

そうする中で、子どもの態度が変わり、日々の平穏が崩れることもあります。

 

言葉だけ、本人が嫌がらないようなことをするだけでは、子どもに届きません。

親の問題解決に向かう本気の行動が、子どもを動かします。

 

そもそも、今の波風の立たない日々は平穏ではなく、「こう着」かも知れません。

引きこもり・ニート状態が1年以上続いているなら、こう着の可能性が高くなります。

こう着した家庭の中では子どもは動かないので、こう着を崩しましょう。

 

親子関係が悪くならないかが心配で、行動できない親もいます。

でも実際は、引きこもり・ニートから脱して落ち着くと、元の関係に戻ります。

良くも悪くもなりません。

 

親子関係の良さや家庭の平穏さと、問題解決できるかは、関係ありません。

大切なのは、押すべきところへ押し出せるかどうかです。

 

実際にどんな行動を取るかは、第三者の意見を聞くようにしてください。

こう着した家庭の中にいると、そこから抜け出すような発想はなかなか出てきません。

 

家庭が平穏でなければ、子どもが動かないと思っていませんか。

ぎりぎりの平穏を保とうとする努力は、引きこもり・ニートを長引かせます。

 

目の前の平穏な日々にこだわるのはやめましょう。

子どもが未来へ動くことが、一番大切です。

平穏を壊すことを恐れず、やるべき行動を取ってください。

 

 

ニュースタート事務局スタッフ 久世 

 

 

 

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