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ニート・引きこもり解決策オンラインセミナーのアンケートにお答えします・続編

11月4日・7日に開催した、ニート・引きこもり解決策オンラインセミナー【ひきこもりの子どもの気持ちがわかりません】。
250人近い方にお申し込みいただき、動画の視聴回数は300回を超えました。

その後お送りいただいたご感想と、ご質問へ回答の、続きをお届けします。

<前編はこちら>

引きこもりの人との会話・対話とは

支援員との会話だけで解決しようとしない

「一般の会話からどのような過程を経てこれからの話に持っていっているのか、その辺も知りたいなと思いました」

これは支援員の方からの質問です。
レンタルお姉さんがどうやって入寮の話をしていったのか、その経緯を知りたいのでしょう。

訪問支援のスタートは、本人が興味がありそうな話や一般的な雑談などで、関係を作ることです。
悩み事や今後の話ができるようになることが理想です。
そうすれば寮の話なども自然に出すことができます。

ですがそうやって理想通りに進む人ばかりではありません。

ケースバイケースですが、親御さんから寮の話を出してもらうことも多々あります。
その報告を受け、レンタルお姉さんが「こんな所だよ」と説明していくという順序です。
また寮生を連れて訪問することも、寮を理解してもらうのには大いに役に立ちます。

訪問支援員1人との会話だけで何とかしようとしないことが大切です。

親子の会話にどう変化をつけるか

「変化の付け方、会話が全く無い中で変化を付ける方法手段の例」

これは保護者の方からの質問です。
我が子との会話がない中で、どうしたらいいのか悩んでいらっしゃるのだと思います。

一番いい方法手段は、「親の考え方を変えること」です。
考えが変われば、言動も自然と変わります。

ではどう考えを変えたらいいかは、今どんな考えをお持ちなのかによります。
また何十年かけて作り上げてきた考えを変えることは、簡単ではありません。

ここが親御さんだけではなかなか難しいからこそ、「家族をひらきましょう、第三者を入れましょう」とお伝えしています。
親御さんご自身の考えを変えるより、違う考えを持つ第三者を入れる方が簡単です。

寮には仲間がいるが期限もある

「寮生活の内容が知りたいです。
どうやって自立に導いているのでしょうか?」

これは支援者の方からの質問です。

  • 似たような経験をした仲間たちとオフ(仕事や体験以外)の時間も一緒に過ごす
  • 自立していく先輩たちがいる
  • 寮生活には期限がある(親が料金をずっと払ってくれるわけではない)
  • オンオフ両方を把握しているスタッフがいる
  • 働きばかりを重要視しない親とは違う価値観の場所である

寮の大きなポイントは、個人的にはこの5つだと思います。
仲間など今に寄り添う存在だけでなく、実際に自立して行く人や期限など背中を押す存在もいることで、「自分もそろそろかな」という気持ちになれるのではないでしょうか。

本人の自主性をどこまで尊重するのか

「生活自立のため入寮という方法もあると思うが、本人同意なく進めていることが気になった」
こういった感想もいただきました。

「親の一方的な宣言で入寮するケースもあることを知ることができました」
この感想も、本人の同意がなくてもうまくいくというのが意外だったのでしょう。

入寮時の本人の同意をどう考えるかは、これだけをテーマにできるほど、難しい問題です。
結論から言えば私たちは、入寮に際して言葉での明確な同意は不要と考えています。

その理由は、ぜひこちらのコラムをお読みください。
本人の意思を尊重しようとして長期化するケースは、実は後を絶たないのです。

引きこもり支援は棲み分けが必要

行政と連携する引きこもり支援はない

「ひきこもりの方への支援として、貴団体が行政と連携して取り組んでいることがあれば紹介して頂きたいです」

サポステなど行政の枠組みを利用しているものはありますが、一緒に取り組んでいるものはありません。
また行政以外でも、別の企業や団体と連携して取り組んでいる事業もありません。

医療と引きこもり

「医療機関・精神科デイケアに求める当事者の希望・意見、及び、支援者側の求めること、やって欲しいこと」

これも支援者からの質問です。
実際にデイケアなどにお勤めなのでしょう。

医療機関に求めることは、訪問診療の拡充でしょうか。
「明らかに病気だが、外出も難しい」というケースがどうしてもありますので、各地に訪問診療があるとありがたいです。

デイケアは、寮生から「もっと重症な人ばかりで自分には合わない」と聞いたことは何度もあります。
数があれば、多様な対象者に対応できるのかも知れませんね。

未成年の支援と成人の支援

「親の子どもへの関わり方の具体策、中高生の引きこもりの支援が知りたい」

私たちの支援対象は、基本的に18歳以上です。
例外はありますが、中高生の支援は行っていません。

成人なら就労支援ですが、中学生などの場合は勉強を教えるという、違う支援が必要になります。

私たちは就労支援のみを行い、中高生の支援はお受けしておりません。
ですのでこの質問にはお答えできません。

引きこもり支援は多様であるべき

行政、病院、私たちのような民間。
未成年対象と成人対象。

それぞれ持っている機能や、できることは違います。
多様な支援を、それぞれが実施することが大切です。

そうやって棲み分けることで、多様な人に対応できるのではないかと思います。

背中を押し「続ける」ということ

「信じて待つ」から「信じて背中を押し続ける」へ

「期限を決めることに反発して拒絶したり、寮に入ることが出来なかった当事者には、どのような対応をされたのか知りたいです」
「支援者の方の訪問がうまくいかなかった事例や、Cさん以上に寮になじめなかった子、寮を卒業して自立できたけどまたひきこもってしまった子がどれくらいの割合でいるのかなどを知りたい」

やってみた支援がうまくいかなかったらどうするか、という保護者の方からの質問ですね。

「信じて待つ」をやめて、「信じて背中を押し続ける」に。
これは過去の講演会などで毎回のようにお伝えしている言葉です。

ポイントは、信じて背中を押し「続ける」ということです。

1回や2回押しただけで解決するとは思わないでください。
うまくいくまで、何回も押すことが必要です。

支援者も背中を押し「続ける」

それは親御さんだけでなく、支援者も同じです。
1回や2回反発されても、次の話を持って行くのです。

ですから、反発し入寮できなかった場合は、基本的には訪問支援を続けます。
そして次の背中を押すタイミングや材料を探し、また押してみます。

支援の途中終了は、親御さんが「もういいです」と諦めた時です。
(病気などで私たちには対応できないという場合を除きます)

親御さんが諦めないうちは、私たちは何度も背中を押します。
次の手を考えます。

そうやっていくうちに、最後はほとんどの人が動き出すのです。

2020年オンライン講演会【「信じて待つ」をやめる】

「信じて待つ」が何を生むのか、なぜ「信じて背中を押し続ける」に切り替えなくてはならないかは、こちらの動画をぜひご覧ください。
昨年のオンライン講演会からの抜粋になります。

ノーノ―イエス作戦は20年以上前から

そしてもう一つ参考に見ていただきたい動画は、こちらです。
1998年、何と23年前のシンポジウムの録音です。

22:28 5-3.ノーノ―ノーイエス作戦

特にこの部分などはまさに、「信じて背中を押し続ける」姿勢です。
私たちの支援の考え方は、20年以上前から変わっていないのです。

引きこもり気質を変えることはない

そして、一度卒業して自立してからまたひきこもってしまった子について。
これはどうしても時々はいます。

卒業生仲間が「あいつ最近LINEに反応がない」と心配してこちらに連絡をくれる、または親御さんから「仕事をやめてしばらく何もしていない」という連絡が入ることが、年に1~2回はあります。

寮で多少人との関係性が結べるようになり、数年は仕事が続くようになります。
ですが本来の引きこもり気質は、変わりません
それがその人なのですから、変わらなくていいとも思っています。

そういった連絡が入った場合は、訪問支援などを再度行い、次に進む手伝いをします。
つい最近まで社会に出ていましたので、支援は長くかからないことがほとんどです。

家に戻すと引きこもりに戻る

ただお伝えしておきたいことが一つあります。

卒業後実家に戻った場合と、戻らず一人暮らしになった場合。
この2つのパターンでは、引きこもりに戻る確率が全く違うということです。

実家に戻ると、仕事を辞めた後に、またズルズルと引きこもりになってしまうことが多々あります。
その失敗経験も踏まえ、今は卒業後は一人暮らしが基本としています。

親が我が子をきちんと手離せるかが、本人が飛び続けられるかに大きく関わるということです。

「魔法の言葉」はない

引きこもりの実際の事例を

「長い引きこもりの期間があって、レンタルお姉さんとの会話もままならなかった当事者の方が、どのようにしてニュースタートの寮に入ることを同意されたのでしょうか。
保護者や支援者のどのような言葉かけが、当事者の気持ちを動かして入寮に至ったのか、(できれば当事者の具体的な心の動きも含めて)詳しく教えて頂ければ、と思いました」

保護者の方からのご質問です。

これはオンラインセミナーでお伝えした3つの事例が回答になります。
会場で開催した首都圏セミナーでは、より細かく事例の内容をお伝えしています

もし先月の首都圏セミナーに参加されていないのであれば、ぜひ次回は会場までお越しください。
または「個別相談」「オンライン個別相談」をご利用いただければと思います。

答えは1つではない

そしてこの方に分かっておいていただきたいのは、引きこもりは多様であるということです。
何が本人を最後に動かしたかも、その人によってバラバラです。

あるケースを、本人の気持ちの変化まできちんと知ったとしても、我が子に通用するとは限りません。
逆に親御さんがそのケースのイメージを持ったまま行動することで、いい結果を生まない可能性も十分あります。

その事実を踏まえ、セミナーなどでは、あえて種類の違うケースを3つ以上お伝えすることにしています。
どれかが参考になるのではという気持ちと、「解決への答えは1つではない」ことも伝わればと思っています。

全てのケースに通用する「魔法の言葉」などは、存在しないのです。

他の支援の現場の声を聞いてみたい

「直接支援をされている中でどのようなことを感じておられるのか、正直大変だなと思うようなことだったり、成功例失敗例などざっくばらんにお話しいただくような機会があればいいなと感じました」

支援者の方からこのような感想がありました。
これは支援者の方に限ったクローズな場でしたら、機会をいただければぜひやってみたいです。

他所の支援現場は、私たちとはだいぶ違う感覚をお持ちではないか、という気がしています。
実際に他所に講演に伺い、このような感想を持ちました。

皆さんがどのように支援しているのか、どんなことを日々感じているのか。
それを知ることで、私たちが次に何をお伝えすべきなのかが見えるのでないかと思います。

オンラインセミナーの一部を公開しました!

オンラインセミナーの事例以外の部分を、新たな動画としてYouTubeで公開しました。
こちらは常時公開しておりますので、お好きな時に何度でもご覧いただければと思います。

またフルバージョンの動画も、何かの機会に再公開したいと考えています。
日時限定の開催となると思われますので、情報を逃さずに知りたいという場合は、メルマガにご登録ください

ニート・引きこもり解決策オンラインセミナーに関するコラムは、以上となります。
改めまして、ご視聴ありがとうございました。

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同じ引きこもり・ニート状態であっても、その状況はそのご家族によってみな違います。
ニュースタート事務局では、ニート・引きこもりの解決のために、あなたの息子さん・娘さんに最もよいと思われる方法を、豊富な経験からご提案いたします。

執筆者 : 久世 芽亜里(くぜ めあり)

久世芽亜里

認定NPO法人ニュースタート事務局スタッフ。青山学院大学理工学部卒。担当はホームページや講演会などの広報業務。ブログやメルマガといった外部に発信する文章を書いている。また個別相談などの支援前の相談業務も担当し、年に100件の親御さんの来所相談を受ける。

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