11月4日・7日に開催した、ニート・引きこもり解決策オンラインセミナー【ひきこもりの子どもの気持ちがわかりません】。
何と250人近い方にお申し込みいただき、動画の視聴回数は300回を超えました。
ご視聴くださった皆様、ありがとうございました。
その後お送りしたアンケートメールにも、多数ご回答いただきました。
その内容をまとめるとともに、ご質問にもここでお返事していきます。
目次
前回のオンラインイベントに引き続き、支援者の方のお申し込みが多いと感じていました。
アンケート結果だけでいくと、保護者と支援者が共に4割、それ以外が2割という分布でした。
しかも面白いことに、保護者と書かれた方と、支援者と書かれた方が、全くの同数でした。
保護者と支援者、どちらの方にも、高い関心を持っていただけたのだと思います。
前回にはなかった属性の方が、今回はいらっしゃいました。
「それ以外」の2割に今回は含めています。
「保護者ですが、支援者の立場でもあります」
こういった回答が、複数ありました。
恐らく親の会などで参加者であると同時に、支援者でもあるということなのでしょう。
両方の立場で聞くと、響く言葉は違ったりしないのだろうか、と少し興味が湧きました。
また今回初めて見た回答が、様々な属性の方が一緒に見ていたというものです。
これも複数いらっしゃいました。
「その他」の2割にカウントしています。
回答があったのは、この2つの組み合わせでした。
支援者+保護者は、まだ分かるのですが。
この場にいた当事者の方は、どんな気持ちだったのか・・・
保護者・支援者向けと書いても当事者の方が申し込むことはあるだろうとは思っていましたが。
「親子の会話は難しい」という話を、親子で聞く。
そこは全く想定していませんでした。
その後何とも言えない空気になっていないことを願います。
ここからは実際の感想をご紹介していきます。
「事例は具体的でためになる」
「実態が見れてよかった」
「内容等当事者の方またその家族の方の思いや気持ちのズレなど、具体的なお話をもとに進められていたこと、とても分かりやすく参考になりました」
まずシンプルな感想は、実際の事例を元にした話が聞けて良かった、という内容です。
「引きこもりの状態から立ち直って、自立の道に進むことが出来たこと、大変素晴らしいと思いました」
我が子も進んでほしい、と自立した事例の人たちとお子さんを重ねているような感想もありました。
「Cさんの事例のようなこともお話していただけたことがとてもありがたかったです」
今回初めて、失敗事例をお伝えしました。
前回のオンラインイベントのアンケートで、「失敗事例を聞きたい」という回答がいくつもありました。
そこから今回の事例に失敗事例を入れようと考えた次第です。
前回のアンケートのまとめはこちらです。
「失敗事例は、親の対応が違っていれば成功事例になったのではないかと思いました。
自立を促すには親も覚悟を決める必要があると思います。
このようなケースにおいて支援者が親にどのように働きかけるべきなのか、考えさせられました」
このような感想もいただきました。
この事例が支援の向上につながればと思います。
今回のセミナーで一番お伝えしたかったこと。
それは、支援の多様性を伝えることです。
「まず親子の会話」という考え方が、支援の幅を狭める原因の一つだと感じています。
このやり方が適している人は、限られています。
ここがネックになって支援が進まず、長期化高齢化になっている人が多数います。
私たちニュースタート事務局は、1994年の活動開始当初から、親子の会話の成立の難しさに直面してきました。
親子の壁を超えることより、本人を自立させることの方がよほど簡単、というケースも数え切れないほど見て来ました。
そこから今回のテーマを「親子の会話」にしたのです。
「自立までの支援の入口が人によって異なるというのは、勉強になりました。
いろんな引き出しを使って、柔軟に対応していくことが必要なのだなと思いました」
「本当に個々のケースで対応が必要ですね」
「ひきこもりの状態は様々で、個々に合わせた支援が必要だということ。
又、信じて待てばいいという支援の仕方では、うまくいかないという話に共感できた」
支援者の方からは、このような感想をいただきました。
こちらが伝えたかったメインの事柄は、届いたのではないかと思います。
「セミナーでもありましたが、厚労省が進める支援の枠組みでは、全くコミュニケーションや関係性がなくなってしまっているご家族が、当事者と関係を取り戻すという内容は非常に難しく時間がかかるものであると実感していました。
家族が本人に向き合うことをやめないあきらめ続けないと言う事はとても大事なことだと今でも思っていますが、ニュースタートさんがおっしゃる様々な方法を取り入れてやっていくということも、ひきこもりが状態像であるが故に、一人一人その原因が違うという点においては、大事なのではないかと思いました」
これは私たちにとって100点満点の感想です。
この方は現場で、様々な壁にぶつかっていたのでしょう。
今回のセミナーが支援の質の向上につながれば、これ以上嬉しいことはありません。
やり方が変われば助けられる人たちが、全国に何十万といるはずなのです。
「今日は新しい視点のお話がきけてよかったです。
『親との関係が良くなってからはじめて次のステップに進める』
という考えとは別のやり方で支援されていることを具体的に聞くことができました」
保護者の方からも、このような感想をいただきました。
様々な支援の考え方があると知っている。
それだけで、今のやり方に行き詰まった時に、長く立ち止まらずに済むはずです。
ちなみに私たちが支援の合う合わないを判断するのに必要と考えている期間は、2年です。
「親も子もお互いをわかってるつもりでも話を確かめると全く違っていたりするんだと思いました。
親だからってフレーズは当てになりませんね」
「本人が家族に話しているが家族は聞いてないという事例がありましたが、家族支援も大事な要素だなと思いました」
「例に出て来られた方々は『親は聞いてくれない』と言われていたところが印象に残りました」
親子の話や認識のズレを、実際の事例で具体的にお話しました。
それぞれの言い分をご紹介したので、良く伝わったと思います。
この親子のズレは、今週末に開催する首都圏セミナーで、当事者映像も交えながらより細かくやります。
よろしければぜひお越しください。
「3年以上引きこもると、動きにくくなる」
「一歩を踏み出す事の重要性、特に3年という壁」
「3年超えたら自らの改善は望めないというところが印象に残りました」
3年もすると、親子関係が固まるという話を、よくさせていただいています。
引きこもりから3年経つと一気に長期化する傾向もあります。
詳細はこちらの説明動画をご覧ください。
寮生卒業生からも、3年というワードはよく出てきます。
「最初は色々と考えて悩んでいたけど、3年位から何も考えなくなる」
「3年位からはズルズル行ってしまった」
といった具合です。
今回のオンラインセミナーで紹介したBさんは、これから行う首都圏セミナーでインタビュー映像を流しますが、その中で
「最初の1・2年は頑張っていたが、その後は考えるのもつらいので考えなくなった」
と語ってくれています。
「3年経ちました。支援も効果が薄いのか?と悲観しかありません」
これは保護者の方から今回いただいた感想です。
セミナーでお伝えしたように、支援もその考え方も、様々なものがあります。
今の支援の効果が薄いかもと思われたなら、一度こちらに相談ください。
「第三者が入ることや環境を変えることの必要性を学びました」
「関係性の再構築の困難さと、環境調整の効果と重要性」
「環境を変えることが良い方向に向かう」
親御さんが会話が難しくても、第三者には話してくれる可能性がある。
第三者が入っても難しければ、先に環境を変えることを考えてください。
こういったお話もさせていただきましたが、よく伝わったと思います。
「受け入れ環境はすぐにできないなぁ、と感じました」
ニュースタート事務局には寮がありますが、そういった材料がない支援者の方もいらっしゃるでしょう。
何か作ろうにも、どうしても時間がかかります。
今困っている方が目の前にいるなら、すでにそういった環境を持っているところにつなぐことも大切です。
私たちニュースタート事務局は、1998年から、「レンタルお姉さん・お兄さん」という名前で訪問支援を行っています。
名前の由来は、「近所のお兄さんお姉さんのような存在」です。
友人でもなく、明確な支援者でもないような位置付けです。
「『レンタルお兄さんレンタルお姉さん』、ネーミングが斬新すぎて、正直少し警戒してました笑」
そのお気持ちはよく分かります・・・笑
「支援方法は参考になりました。レンタル姉さん、兄さんはいいですね」
「家から簡単には出れない。レンタルお姉さんはいいかも」
「レンタルお姉さん等、当地域で類似の取組がみられないようなものがあり、大変勉強になりました」
今回お伝えした3事例のうち2人は、レンタルお姉さんが訪問し入寮となったケースでした。
具体的にどのように関わったかを事例の中でお伝えしたので、支援内容もご理解いただけたようです。
レンタルお姉さん・お兄さんは、外の世界へのつなぎ役です。
ただ訪問するだけが支援ではありません。
親御さんとも協力しながら構造を作って動かしていく、その起点になることも役割になります。
「レンタルお姉さんのこと詳しく知りたい」
「相談や支援(レンタルお姉さんや入寮)、社会参加の全体像(件数・%)を知りたい」
レンタルお姉さんに関する質問も複数いただきましたので、ここで簡単にお答えしておきます。
常時支援している人数は、寮が30人程度、訪問が20人程度です。
年度途中で開始終了を加味すると、年間の支援件数は70人程度といったところでしょうか。
支援結果ですが、コロナ直前の2019年頃は、寮の自立率は95%でした。
コロナ後はやはり少し数字は下がり、恐らく70%程度になっているのではないかと思います。
レンタルお姉さん・お兄さんは、訪問期間は半年~1年程度が大半です。
この期間で、70%程度の人が次のステップに進みます。
次のステップは、一人暮らし+バイトで自活か、入寮が主です。
「外出できるようにしてほしい」といった依頼もありますので、支援目標は最初の面談で決めることになります。
まずよくあるご質問ですが、レンタルお姉さんは、1回1回のご依頼ではありません。
最低3ヶ月からの、一定期間でご依頼いただくものです。
1回調子が良くて話ができても、次に会った時はまた違うかも知れません。
もちろんその逆もあります。
また全く反応がないようでいて、実は本人の心の中は、見えないけれどじわじわ変化していることもあります。
訪問しても全く返事がなかったのに約束の入寮日には動いたというケースが多くあるのですが、このあたりが関係しているのでしょう。
訪問に限らずですが、支援はある程度のスパンで見ていくことです。
その他の支援内容については、こちらをお読みいただくか、個別にお問い合わせください。
「私たちとは、少し考え方が違うように感じましたが、選択肢の一つとして参考にさせていただきます」
ニュースタート事務局の考え方は受け入れにくいな、という感想を持たれた方も、少なくないと思います。
親が我が子を抱えないことの重要性は、支援者の方はみなさん感じていらっしゃることでしょう。
それは、支援者も同じことです。
「行政は、中々上手く対応することが出来ず申し訳ないです。
本人に会えないと頻回に訪問することはなかなか難しいです」
個々の支援の限界や、制約はどうしてもあります。
少しずつできることからやっていくこと、無理なら他所につなぐことが大切だと思います。
「自分たちのやり方に縛り付けることで、目の前のこの人の歩みを止めてしまっていないか?」
一つの支援団体や窓口が持てる支援方法は、どうしても限られます。
この自問自答を、支援者は繰り返しするべきだろうと思います。
どのやり方が正しい、間違っているというものではありません。
とにかく引きこもりは多様です。
どんなにいい手法であっても、たった一つの手法がマッチする人は、5割もいないでしょう。
この人の助けになるのは何か?
別の手法なら動き出せる可能性があるのではないか?
目の前に2年間支援してどうにもならない人がいるのであれば、一度考えてみていただければと思います。
「精神的ショックでひきこもる場合、そもそもの怠慢、または発達障害と言われる病気なのかを、行動パターンとか言動等で想定がつけれるような方法がありましたら、お聞きしたいです」
「子どもの自立を妨げる保護者への支援について」
具体的にお困りの内容を書かれている方もいらっしゃいました。
これは一般論ではなく、個別のケースの話になるかと思います。
もう少し状況をお聞きしてからお答えする方がいいかと思いますので、よろしければお問い合わせください。
「今日のお話を参考にして、自分たちの息子との向き合い方をまた考えていきます」
「関わっている自らの研鑽を忘れず適切な関わりをこれからも出来るように、心が引き締まる講座でした」
苦しんでいる当事者が少しでも減って行けばと思います。
次の機会をまた作りたいですね。
今週末から開催する首都圏セミナーでは、今回お伝えできなかった内容を盛り込んでいます。
北関東からでも来やすい大宮駅直結の大宮ソニックシティや、東京駅から歩ける会場もあります。
支援者の方のご参加ももちろん可能です。
親「どうしたいか話して欲しい」
子「言ったけど聞いてくれない」
このBさん親子の言葉を、ぜひ本人の声で、表情も一緒に、ご覧いただければと思います。
※こちらのセミナーは終了しました
オンラインセミナーの事例以外の部分を、新たな動画としてYouTubeで公開しました。
こちらは常時公開しておりますので、お好きな時に何度でもご覧いただければと思います。
またフルバージョンの動画も、何かの機会に再公開したいと考えています。
日時限定の開催となると思われますので、情報を逃さずに知りたいという場合は、メルマガにご登録ください。
同じ引きこもり・ニート状態であっても、その状況はそのご家族によってみな違います。
ニュースタート事務局では、ニート・引きこもりの解決のために、あなたの息子さん・娘さんに最もよいと思われる方法を、豊富な経験からご提案いたします。
認定NPO法人ニュースタート事務局スタッフ。青山学院大学理工学部卒。担当はホームページや講演会などの広報業務。ブログやメルマガといった外部に発信する文章を書いている。また個別相談などの支援前の相談業務も担当し、年に100件の親御さんの来所相談を受ける。
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