子どもが引きこもる「心理や理由」がわからないことで、困ってしまう親御さんは多くいます。
しかし、ここで本当に考えたいのは心理や理由が本当に解決につながるかということです。
たしかに、引きこもりの心理にあわせた対処が必要な場合はありますが、それが本当に正しい行動とは限りません。
そこで今回は、引きこもりの心理や理由に触れながら、解決するには”何をすべきか”を紹介します。
大切なのは、お子様の状態を知ることではなく、行動することです。少しでも迷った場合は、家庭内だけで解決しようとせずに、第三者へ頼ることも検討してください。
目次
引きこもりになる心理状態は、環境やさまざまな要因によって異なります。
具体的な例を挙げると、以下の心理状態である可能性が高いでしょう。
引きこもっているお子さんが抱えている「いまの心理・気持ち」を知ろうとすると、こうした例を含めて数えきれないほどの情報にたどり着くはずです。
しかし、こうした心理状態を知ってしまったことでどうしたらよいのかと悩んだり、選べる選択肢が増えすぎてしまったりすると、結果として何もできずに1日が終わってしまいます。
こうした日々を過ごしてしまうと、行動に移せないことで引きこもりが長期化してしまいます。
たしかに、お子さんが引きこもる心理や気持ちを知りたいでしょう。「まず子どもの気持ちが分かってから」と思ううちに5年10年がたってしまう方はたくさんいます。
大切なのは、解決するためには何よりも”具体的に何か行動を起こせるか”です。
実際に行動を起こす前に、覚えておいていただきたいことがあります。お子さんを病院へ連れて行く前に、引きこもりの専門家へ相談してほしいということです。
お子様の引きこもりで、心理や気持ちから推測できる心身の病気を疑って、病院へ受診する親御さんは少なくありません。
実際に内閣府が行ったアンケートでも、相談に行ったことがある当事者のうち6割の方が、相談先に病院・診療所を挙げています。平成28年9月内閣府|生活状況に関する調査 (ひきこもりに関する実態調査)
しかし、すぐに病院へ向かって診断を受け、継続した通院・治療を受け続けても、引きこもりそのものを改善できないことは十分にあります。
たしかに、引きこもりの初期症状がみられた場合、精神疾患(統合失調症による無気力、うつ病など)を疑われる可能性があるでしょう。投薬治療が必要と思われる方も確かにいます。
ただ私たちの経験上、不要と思われる治療を続けて来られた方も、たくさん見ています。特に薬の使用は気を付けるべきです。
病院での診察は、引きこもりの専門知識をもった第三者へ相談してからでも、遅くはありません。
むしろ、新しい選択肢が見つかったり、これまでに知り得なかった本当の心理状態や理由に気付いたりできます。
お子さんの回復に必要なのは、薬やカウンセリングではなく、人との関わり合いや成功体験なのかも知れません。
ニュースタートでは、親御さんだけでは判断しにくい現状を客観的に見て、病院に行くべきかも含めて、これから何をしたらよいのか細かく相談できます。どうぞお気軽にお問い合わせください。
引きこもりの心理状態の特徴は、さまざまな本人が受けた挫折経験によって外界へ恐怖心を抱いているケースが多いことです。
たとえば、内閣府の調査では、以下の挫折経験が掲載されています。
お子さんが感じた挫折経験には個人差があり、必ずしもこうしたものが当てはまるとは限りません。目の前にいるお子さんの心理を探すことになります。
ですが親御さんがお子さんの心理を理解するのは難しく、その原因はいくつかあります。
これは当たり前のことですが、親と子は、別々の個人、別人格です。考え方も違います。
場合によっては、親御さんは平気であることでも、大きな心の傷として残っているということもあるでしょう。
親子だから気持ちがわかる、という簡単なものではありません。
親子では年齢が違います。世代が違います。
お子さんの年代にもよりますが、大半は子どもの頃は友達とはゲームで遊び、ある程度の年齢からはスマホやパソコンを持ってインターネットをしています。育ってきた生活環境の違いです。
正社員、終身雇用が当たり前だった親世代とは、仕事の環境や、仕事への考え方も違っています。
どんなことにストレスを感じるのかは、世代による違いがどうしてもあるのです。
実は引きこもりのお子さんも、自分のことが必ずしもはっきり分かっているわけではありません。
引きこもってしまう理由が自分で分かっている人もいますが、自分でも分からない、自覚できていないという人もたくさんいます。
どうにか親子で会話をして気持ちを聞き出そうとしても、お子さん本人が分かっていないのですから、お子さんの口から答えは出てこないでしょう。
「親には心配をかけたくない」「親はどうせ理解してくれない」などと思って、親御さんにだけは本心を出さないというお子さんも、かなりの割合でいます。
例えば親御さんから何か提案をして、本人が「NO」と答えたとしても、その言葉が全てとは限りません。その「NO」の中には、小さな「YES」が隠れている場合がよくあります。
引きこもりが続いている現状では、心理状態も時間の経過とともに移り変わっていきます。
最初は外での嫌な経験からとにかく家を出るのが怖い、常に恐怖心と戦う状態だったところから、数年後は恐怖心が落ち着いたけれども、外に出るきっかけがないのでズルズルと引きこもっているというパターン。
逆に仕事を辞めたと周囲に知られたくなくて外出せずにいたが、何年も過ぎるうちに外に出るのが怖くなってしまったというパターン。
この変化のし方も人それぞれです。
このようなたくさんの理由から、親御さんがお子さんの心理を掴むことは、かなり難しくなります。
しかもせっかく理解したと思ったのに、その頃には変化して次の心理状態になってしまっているのでは、理解にきりがないということも実情です。
何よりお子さん本人も、どうすれば回復できるかを分かっているわけではありません。引きこもりが解決してから「当時の自分を俯瞰して」見ない限り、答えにたどり着きません。
だからこそ「子どもの心理を理解してから」と考えずに、行動することが大切なのです。
より詳しく引きこもりの特徴について知りたい人は、以下の記事を参考にしてください。
特に引きこもりが長期化する心理は、時間や環境による変化があり、どうしても理解できない部分が残ります。
引きこもり抜け出した元当事者からは、1年目であれば本人もあれこれと考えていますが、3年を過ぎるとマヒしてしまうといった、時間による変化の話はよく聞きます。
そして環境の変化として、家にいたときと寮(引きこもり支援等)によって、抱えていた気持ちが前向きになることもあるでしょう。
さらには、就職氷河期世代(40〜44歳の層)では順調な人生プランを歩めなかった背景が関連することもありますし、長期化が進めば9060問題(8050問題)が心理状態に影響する可能性まで否めません。
結局のところ、親子であっても別人格ですから、長期化する引きこもりの子どもが抱える心理をすべて理解できないケースがほとんどということです。
繰り返しとなりますが、お子さんの心理がわかっても行動につなげなければ、引きこもりそのものを解決できるとは限りません。
引きこもりの心理を追い求めるより、現実的で少しずつ解決につながる”行動”へと考えを変えていきましょう。
引きこもりの長期化にお悩みの場合は、以下の記事を参考にしてください。
ここまでお子さんの心理や気持ちについて、色々とお伝えしてきました。親御さんがお子さんの心理を理解するのは、難しいのが実情です。
それでも「理解したい」「理解できれば解決するのでは」という気持ちは、どうしても消えないのではないでしょうか。
もしお子さんの心理や意志が聞けたとしたら、何か行動が変わるのか。
実はそのせっかく理解できた心理や、せっかく聞くことができた意志も、あえて尊重せずに行動することが必要になります。
くわしくは、こちらのコラムをお読みください。
引きこもりを脱出できる唯一の方法は、「行動すること」です。
心理状態や気持ちを知ろうとしても、その数や可能性は膨大でゴールが見えませんし、押し測ろうと勉強ばかりした結果、長期化してしまう可能性があります。
引きこもりの心理では、「怠けているのではない」「苦しんでいる」「何とかしたい」という気持ちが心の奥にあるだけで十分です。
そこから、引きこもりを解決するために「何ができるのか」「第三者へ相談するべきか」「何から改善できるか」などを考えて、実際に行動へ移しましょう。
もし、新たに考え出して迷ってしまうようなら、客観的に現状を分析できる第三者への相談をおすすめします。
これまで試してみて効果がなかった方法でも、親御さんではない存在だからこそ新しい動きにつながることもあります。
親御さんが行動をはじめても目に見えて効果が得られなかったり、様子見しているうちに1年が経過したりして、そのまま引きこもりが長期化するケースは少なからずあります。
ここで大切なのは、第三者機関を利用して新しい風を家に取り込むことです。
何より先ほど述べたように、親だからこそ理解できない心理というものがどうしてもあります。
ニュースタートでは、引きこもりのお子さんに対して適切な支援をご相談内容からご提案いたします。
引きこもりは長期化してしまうと、そこから動きだすのが非常に難しくなりますから、ぜひお気軽にお声がけください。
最後に、引きこもりの心理状況に関するよくある質問に回答します。
それぞれ参考にしてください。
引きこもりでイライラするのは、慢性的にうまくいかなかったり、他責思考によって責任転嫁したりすることが主な原因です。
本来は自分に原因があっても、それを認められずに親御さんや外界に当たってしまうこともあるでしょう。
こうした心理は時間の経過とともに変わっていきますし、体内に溜まったエネルギーを発散できずに「イライラ」として発散している可能性もあります。
生活リズムが崩れたことによる夜ふかしでも、イライラするケースもあるでしょう。
引きこもりの女性が抱える心理も、男性と変わらずさまざまです。
しかしこれまでニュースタートが相談を受けてきた経験上、女性のほうが以下に挙げたような深刻な状況にありました。
また、男性への明確な恐怖心があったり、女性の集団への苦手意識があったりとさまざまで、私たちでも全体像が見えない状態です(公的かつ大がかりな調査が必要なのだと感じています)。
女性の引きこもりについては、以下の記事で詳しくお伝えしていますのでぜひ参考にしてください。
引きこもりの解決には、家族の理解が必要なケースは実際にあります。
ただ、親だから責任をもって子どもの面倒を見なければならない、という価値観では引きこもりを解決するにいたりません。
親自身が価値観をあらためて、子どもの自立に必要なサポートは何ができるのかを考えましょう。
ときに見守り、ときに相談相手になり、そして子どもが自ら選択した道を歩み出せるように家族が理解し、それを支えるイメージで向き合うことが大切です。
引きこもりの接し方や、親が原因となる引きこもりについては、以下の記事を参考にしてください。
引きこもりの心理は、調べるほど底なし沼のように思考が広がり、それは止まることを知りません。
ですから親御さんには、「怠けているのではない」「苦しんでいる」「何とかしたい」という気持ちがあれば十分です。
親御さんがこれからできることを明確にして、「行動すること」が引きこもりから脱出する唯一の方法です。
少しでも不安があれば、第三者から客観的な視点で意見をもらうことも一つの選択肢となります。
このコラムを、引きこもりのお子さんとの向き合い方を改めて考えなおす参考にしてください。
同じ引きこもり・ニート状態であっても、その状況はそのご家族によってみな違います。
ニュースタート事務局では、ニート・引きこもりの解決のために、あなたの息子さん・娘さんに最もよいと思われる方法を、豊富な経験からご提案いたします。
認定NPO法人ニュースタート事務局スタッフ。青山学院大学理工学部卒。担当はホームページや講演会などの広報業務。ブログやメルマガといった外部に発信する文章を書いている。また個別相談などの支援前の相談業務も担当し、年に100件の親御さんの来所相談を受ける。
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