と気になりお調べですね。訪問支援と聞くと、お任せすると解決してくれるイメージを持つ親御さんも多いはずです。しかし、実際には親御さんにもやるべきことがあり、平穏な家庭に大きな変化がおきます。
しかし、親御さんからと第三者が協力してお子様へ本気でアプローチした結果「引きこもりが解決する」ことも事実です。
このコラムでは、『引きこもりと訪問支援』というテーマで、流れや支援を受けるメリットやデメリットまで詳しく紹介します。最後まで読んでいただけると、訪問支援の具体的な内容から適切な支援の見つけ方まで参考にしていただけるはずです。
長期化が問題となっている引きこもり、新しい風を取り入れる参考にしてください。
目次
引きこもりを対象とした訪問支援は、ご自宅に支援員が伺ってお子様と話をし、外につないでいくサポートのことです。引きこもり状態のお子様のことを「家庭問題」として悩み、家族だけで試行錯誤を続けても行き詰まり・手詰まりになって時間が過ぎていくケースは意外に多いです。
そこで、お子様と社会をつなぐ1つの方法として、第三者から訪問支援という形でアプローチします。
お子様の抱えている問題はそれぞれありますが、親御さんが手離して家族以外の人や場につながっていくことが「親離れ・子離れ」であり自立の第一歩となります。
訪問支援を行っているところは、あまり多くないのが現状です。訪問支援は次の3つに大きく分けられます。
1つ目は、行政による訪問支援です。
基本的に料金はかからないため利用しやすいでしょう。一方で、利用できるのはその市区町村に住んでいる方に限ります。場所によっては、年齢や、本人の事前の了承が必要といった条件もあります。
訪問してくれるのは、行政の職員やソーシャルワーカーの方、行政から委託された団体の方などです。
その地域の相談窓口に行かなくてはならないため、「近所の人に我が子の引きこもりを知られたくない」「役所に知り合いがいるから言い出せない」という理由で利用を避ける親御さんもいます。
また行政のサービスなので、やはり民間などに比べると、頻繁に訪問してくれるわけではありません。訪問支援自体の歴史も浅いため、統一した支援メソッドが確立されておらず、地域による支援内容の格差もあります。
まずはお住まいの市区町村の引きこもり支援や、引きこもり支援センターについて、インターネット等で調べてみてください。お子様が一人暮らしをしている、親御さんと別居している場合は、お子様がお住まいの地域の支援を利用することになります。
2つ目は、病院による訪問診療です。
臨床心理士など医療従事者が訪問してくれます。引きこもり支援ではありませんが、精神疾患などがあり、医療を利用したいが家から出ることが難しいという場合に適しています。
訪問エリアや対象は病院によって異なります。料金は普通の診療と同様にかかります。また症状をお子様ご本人がきちんと話さなければ病状の把握ができないため、お子様の同意が全く得られないままの診療は難しいかも知れません。
訪問診療を行っている病院は多くありません。まずはそういった病院を探す必要があります。インターネット等で探すか、保健所などが情報を把握していることもあります。病院が見つかったら、最初は親御さんだけで相談に行ってみましょう。
最後が、民間による訪問支援です。私たちニュースタートの訪問支援も、ここに含まれます。訪問対象や、料金、訪問の目的、訪問してくれる人の資格などは、それぞれ違います。
行政や病院の支援対象外の方にも対応できるところが、民間支援の最大のメリットです。訪問範囲は市区町村が切れ目にはならず、特にニュースタートの場合は全国に訪問しています。病気の診断を受けていない人でも訪問を受けられます。またニュースタートの訪問支援も20年以上の歴史がありますし、経験豊富な人や団体があります。
ニュースタートの訪問支援は、近所に住むお姉さん・お兄さんのような存在が訪問するサポートです。家族ではない第三者だからこそ、家の中に新しい風を運びこみ『新しい改善のためのきっかけ』になります。
日本全国で訪問していますので、気になった親御さんはぜひ以下のページで詳細をチェックしてみてくださいね。
では、引きこもりの訪問支援が必要なケースはどのような状態なのでしょうか。ここでは、代表的な以下のケースを紹介しますので親御さんが抱えている家族の問題に当てはまるか確認しましょう。
それぞれ、詳しく解説します。
よくあるのが、親からの支援だけでは改善が困難なケースです。
親御さんとお子様の価値観が違うことで、意見交換が正常にできない場合があります。そのため、親御さんの価値観を変えていくことが非常に大切です。
しかし、一般的に人の価値観はそう簡単に変えられません。さらに、親子関係は年数と共にパターン化してしまってマンネリになります。
そうすると、親御さんが意見交換を望んでも子どもは『親向けの顔』で対応するようになり、「関係性が固定化」されて切り崩せなくなります。
このように、親だけでは本人を動かせない、親からの支援だけでは困難なケースでは、訪問支援によって新しい風を取り入れることで状況の改善を試みましょう。
先ほど軽く触れた関係性の固定化は、おおよそ2〜3年経過していると起きやすいため、訪問支援を含む第三者からの支援が求められます。そのため、ニュースタートでは、以下の基準を設けて第三者の支援をおすすめしています。
これまでの引きこもり支援では、見守りをメインとする傾向がありました。しかし、大きく状況が変化しにくい結果、1年以上待っていても動き出せない場合は「何か別の要因がある」と判断して、別の方法に切り替えなければ長期化してしまいます。
また、同じ支援方法を2年間続けていて変化がないケースや、支援方法を変えていても3年以上経過している場合も同様です。支援の良し悪しとは別に、今の支援がお子様に合っていない可能性があるからです。
「見守りが1年+親御さんの支援が2年=3年」が、訪問支援を受ける目安です。方法を変えて支援を続けても、引きこもりから3年以上経過しているなら、第三者の支援を考えてみてください。
そして、親のせいと責められる、または親を拒否しているため支援できないケースも、訪問支援を受ける1つの目安です。お子様が親に原因があると考えている場合、すぐに親のせいだと言って話が先に進まない場合、親を拒否しているため話自体ができない場合は、親御さんからの意見や支援は大きな変化につながりにくくなります。
また、反発が強く暴言・暴力などに悩まされているケースもあるでしょう。家庭内の暴力は表面化しにくいため、気づかないうちに大きな問題へと発展してしまう可能性があります。
意外に感じるかもしれませんが、親御さんに対して暴力・暴言があるケースで、第三者へ暴力・暴言が大きく向くことは少ないです。私たちの支援経験からもそう思いますし、朝日新聞に掲載された斉藤環先生の記事でも、「ひきこもりに家庭内暴力は少なくないが、犯罪率は低い」とはっきり書かれています。
親からの意見や言動に反発した結果として暴言や暴力が起きていることが多く、親が暴言・暴力を拒否して距離を取ると、たいていはおさまります。ですがそれでは状況が進まないため、第三者からの働きかけをする必要が出てくるのです。
親のせいと言われて支援できない・暴言や暴力がある場合、なるべく早く訪問支援を含む第三者からの支援を検討してください。
訪問支援が必要なケースに当てはまっても、利用するメリットが気になる親御さんがいますよね。訪問支援は、単に第三者から新しい風を送り込むだけがメリットではありません。
お子様を病院やその他の専門機関に『連れて行かなくて済む』のが大きなメリットとなります。引きこもりの状態から「連れて来てください」と言われても、部屋から出てもらうという高いハードルが目の前にあるはずです。
訪問支援なら、そのハードルを越えることなく支援を受けられて、以下のメリットが家に居ながら得られます。
それぞれ、具体的に紹介するので参考にしてください。
これまで、多くの親御さんからさまざまな内容のご依頼で訪問支援を続けてきました。その中で、親御さんがお子様に向かって“何とかしてあげたい”という思いでさまざまな支援を試して、時間だけが過ぎていくケースは多くあります。
そこで訪問支援では、以下のような人達から前に進むきっかけとなる支援を受けられます。
引きこもりの子どもは、親御さんが思っている以上にさまざまな気持ちを胸に秘めて過ごしています。
最初はただ聞くだけでも、これまでの経験から積み上げたさまざまな方法でアプローチし、新しいきっかけを掴む支援として訪問が役立ちます。
例としてニュースタートでは、独自に「近所に住むお姉さんやお兄さんのような感覚」で支援をおこなっています。臨床心理士のような上下の関係や、ピアサポーターのような横の関係ではなく『斜めの関係である伴走者』のイメージです。
伴走者だからこそ、少しずつ慣れていくことでお子様は心を開いていきます。そして、前に進む新しいきっかけとして「柔らかく背中を押して外につなげる」、そのお手伝いが可能です。
お子様と社会をうまく繋げられなくて前に進めない場合でも、訪問支援の第三者が最初の一歩となります。
例えば、人と話す練習として、社会の情勢を知るソースとして利用するだけでも新しい社会を知る機会になります。
また、新たな社会の見え方から、別の方向に目を向けるようになって引きこもりからの脱出につながることもあるほどです。お子様が立ち止まっているとき、考え過ぎて社会または外へのハードルを上げてしまっていることもあります。
訪問支援によるコミュニケーションは、そうしたハードルを下げて社会復帰の一歩となる支援です。
訪問支援は、親御さんから手離れしてお子様が家族以外の人や場につながり、外の世界にあるさまざまな問題に立ち向かう力を得られて自立するのもメリットです。もちろん訪問支援だけでは限りがあります。しかし、社会と触れ合うきっかけができれば、そこから課題となる自分の問題に向き合い徐々に自立を目指せるはずです。
例えば、10年引きこもりだった1人の子どもは、訪問支援から少しずつ打ち解けて共同生活寮から自立を目指しました。寮から行っている仕事体験を助走とし、バイトを始めて更に一人暮らし、自立までたどり着いています。
このように、訪問支援という1つのきっかけが、引きこもりの社会復帰の助けとなるケースは多くあります。これまで親御さんから支援し続けて、改善できなかった場合はぜひ検討してみてくださいね。
お子様の社会復帰について詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。
引きこもりから社会復帰する方法とは?脱出のきっかけを支援で掴もう
一見するとメリットばかりに見える訪問支援にも、以下のようなデメリットがあります。
ニュースタートを例にそれぞれ詳しく解説するので、依頼前の参考にしてください。
訪問支援は、第三者から新しい風を取り込みアプローチする方法の1つであって、必ず改善できるとは限りません。
訪問支援の業界で耳にするのは、実際に会える確率は行政であっても2割ほどであること。引きこもりの子どもが抱える問題は、人それぞれなため「適切な方法も変わる」特徴があるからです。
そのため、以下の2点で成功率が変わってきます。
ニュースタートでは、訪問支援で会える確率を高めるために、数ヶ月で変化がなければアプローチを変えていきます。また、訪問支援からのつなぎ先として独自で寮を持っており、訪問支援による引きこもり改善の成功率は約7割と結果を出して来ました。
しかし、それでも訪問支援は必ず改善できる方法とは言えません。
訪問支援を2年間受けて効果がなかった場合は、支援を変えることも考えてください。別の支援か、違う所の訪問支援を検討しましょう。
まずはお子様に合わせた適切な支援を受けるためにも、事前に相談してから依頼しましょう。
少し厳しい言い方となりますが、訪問支援は依頼したらお任せではなく『親御さんがやるべき土台づくり』があります。
お子様に向けて「煩わしくなって第三者に依頼した」というメッセージに伝わると、親御さんに見離されるのではという不安を大きく助長してしまって改善が難しくなるからです。
そのため、具体的には以下のような土台づくりをお手伝いいただきます。
どのような状態になるかは、引きこもりの子どもによってそれぞれです。しかし、親御さんの思いをしっかりと伝えることが、今後の社会復帰で非常に重要な鍵となります。
そして、親御さんが土台づくりをスタートすると「これまで改善できなかったけど、実際には平穏だったいつもの日常が壊れる結果となる」こともデメリットです。
しかし、やるべきことを行うからこそ「引きこもりから脱出できる」とも考えられますので、次項で詳しく説明します。
先ほど軽くお伝えしたが、平穏だったいつもの日常が壊れて均衡が崩れてしまうのもデメリットです。
親御さんはお子様の将来を心配しながら、引きこもりの支援を続けておられることかと思います。しかし、いまは波風の立たない日々を送っている場合、平穏な日常が壊れる怖さから我が子の引きこもりやニートを長期化している可能性があります。
厳しい言葉となりますが、以下のような気持ちでは引きこもりの子どもを動かすことはできません。
親御さんが本気になってはじめて、子どもに伝わります。
確かに、家庭が平穏でなくなることは親として辛い選択肢です。しかし、言うべきことは言い、やるべきことはやるしかありません。
優先したいのは、お子様の引きこもり・ニートという問題の解決です。
訪問支援を受けると、何も変わらなかった日常が「外からの視点を取り入れた結果」大きく変化して均衡が崩れます。こうしたデメリットがあることも知ったうえで、訪問支援をスタートさせて本気で引きこもりから脱出を目指しましょう。
均衡が崩れることや大きな変化に不安がある方は、以下の記事も参考にしてください。
引きこもり支援を受けようとしたが途中で断念した親御さんたち。その多くが、行政や病院などで、「本人を連れて来てください」と言われたことが原因です。こう言われてしまうと、親御さんはもう何もできなくなってしまうのです。
こういった理由で立ち止まってしまう親御さんの話は、たくさん耳にします。自分は相談には行ったもののお子様を連れていく事ができず、相談先も対応できなくなり、たらい回しのような状況になったという話も聞きます。
訪問支援は、この壁を超える最大の手段なのです。
ここまでお伝えした内容を踏まえて、引きこもりを対象とした訪問支援の流れは以下の通りです。
長期化している場合や人との関わりに不安を感じている場合、初回から会えないケースが多くなります。それ以前に、本人の承諾を得られないこともあるはずです。ですがそれで諦めないことが大切です。
ニュースタートでは、8割くらいの方は最初に会っていただけませんが、手紙や電話を織り交ぜながら継続的な関わりを作ります。親御さんにも適切な土台作りをしていただいた結果、ほとんどの人に最終的に会うことができます。
このコラムでは、訪問支援をメインに紹介しました。しかし、若者から大人まで引きこもりの背景にはさまざまな原因があり、お子様に合わせた支援が必要です。
ニュースタートでは、例として流れでお子様にあった支援を親御さんにご提案いたします。
どのような小さな質問でも専門スタッフが丁寧にご対応し、個別相談・オンライン個別相談・無料見学会・なんとかしよう親の会にご参加いただけます。また、すぐに支援をご希望の場合は細かいヒアリングを保護者面談で行い「具体的な支援をご提案」いたします。
など、ニュースタートから新しい風を取り入れて、引きこもりのお子様の支援をぜひご検討ください。
親のせいと言われて支援できない・暴言や暴力がある場合、なるべく早く訪問支援を含む第三者からの支援を検討してください。
最後に、引きこもりと訪問支援でよくいただけるQ&Aについて紹介します。
それぞれ、疑問を解決する参考にしてください。
A.ニュースタートを例にすると、訪問支援以外に以下の方法があります。
そのほか、状況に合わせて適切にご提案いたしますので、まずはお気軽にお問い合わせください。
A.訪問支援の利用だけでしたら、親御さんの意思だけでスタートできます。
しかし、実際に訪問するまでに土台づくりを行っていただく必要があり、すぐに支援を受けられないケースがあります。細かいヒアリングの結果、訪問支援以外の方法が良いケースもありますのでぜひご検討ください。
A.訪問支援で社会とつながる第一歩を踏み出せたら『入寮や就労支援』のステップとなります。
個人差はありますが、入寮していただいて仕事体験から就職を目指したり、そのまま就労して社会復帰したりします。すぐに社会に復帰すると、挫折経験を味わう・厳しい現実に疲れてしまうこともあるはずです。
就労支援からもお子様が自分のペースで過ごせるように、親御さんからの支援は引き続き必要となります。
訪問支援は、長く続いた引きこもりに以下のような大きな変化を与える第一歩となります。
ただし、以下のデメリットがあります。
それでも、第三者の訪問は引きこもりのお子様にアプローチできる選択肢の1つです。訪問の目的や方法、成功率までしっかりと考えて依頼しましょう。
訪問支援がお子様に合っているか不安な親御さんは、ぜひニュースタートへ気軽にご相談ください。
同じ引きこもり・ニート状態であっても、その状況はそのご家族によってみな違います。
ニュースタート事務局では、ニート・引きこもりの解決のために、あなたの息子さん・娘さんに最もよいと思われる方法を、豊富な経験からご提案いたします。
認定NPO法人ニュースタート事務局スタッフ。青山学院大学理工学部卒。担当はホームページや講演会などの広報業務。ブログやメルマガといった外部に発信する文章を書いている。また個別相談などの支援前の相談業務も担当し、年に100件の親御さんの来所相談を受ける。
→詳細はこちら