子どもが引きこもっているとき。
親としてどんな対応をすればいいと思いますか?
多くの方が思いつくのは、このくらいではないでしょうか。
では、この中でどれが我が子にいいと思いますか?
効果のある対処方法は、子どものタイプによって変わります。
引きこもりのタイプ、そしてタイプごとの解決法をご説明します。
あちこちでよく言われるのは、
「子どもを信じて待ちましょう」
ではないでしょうか。
もちろん子どもの力を信じてあげることは大切です。
人間関係などで傷付いた場合もありますし、そっとしておく時間も大事です。
ですが、一定期間を動かずに過ごしていると、動く力が落ちていきます。
動きたい気持ちになっても、動けなくなるのです。
引きこもったまま1年が過ぎたら、本人に動く力はないだろう、と思ってください。
待つのは1年までです。
それを過ぎたら、外側からの働きかけが必要です。
さて、最大で1年、子どもを見守って子どもの動きを待ったとしましょう。
それでも子どもが自分から動き出さないようであれば、親が動く番です。
では、親は何をすればいいのでしょうか。
引きこもりは、大きく4つのタイプに分類できます。
親が取るべき対応も、タイプごとに変わります。
タイプそれぞれの特徴と解決法を、これから説明していきます。
お友達もいて、人間関係に問題があるようではない。
何かやらせると、出来ないわけでもない。
でも働くように親が言うと、「めんどくさいなあ~」とやらない。
なぜ引きこもったのか。
親ははっきりとした原因がわからない場合が多いです。
一生懸命原因探しをして、「昔のあの経験が・・・」と見当違いな原因を親が考えていることもあります。
問題や原因が見えないのに、働かず家から出ていかないのです。
そして大きな特徴は、子ども自身は困っているようには見えないことです。
はっきりした理由がないのに、なんとなく引きこもって働かないでいる。
「めんどくさい」と言って行動しない。
これが「なんとなくタイプ」です。
なんとなくタイプは、引きこもる強い理由はありません。
ですから親が強い態度で迫ると、抵抗は長く続きにくいのです。
子どもが「めんどくさい」と言っていられない状況を作りましょう。
まず家族会議を開きましょう。
「いつもと何か違う」「親は本気だ」と思わせる空気を作ります。
そこで「あと2か月でバイトを始めなければ、○○という所に行ってもらう」などの決定をします。
期限と、できなかったら何をするかの話は、必ず入れてください。
親の本気度が伝わると、頑張ってバイトを始めることもよくあります。
もしバイトが決まらなくても、できなかったらするによう言っておいた○○に行くという話に、多くがおとなしく従います。
大切なのは、親の本気が伝わるかどうかです。
親が「がんばったから今回はいいか」などと甘く対応してしまうと、失敗してしまいます。
親が医者で、医大を目指して4年も5年も浪人している。
親が心配して「バイトでもしてみたら?」と言っても、勉強を優先したいと拒否する。
結果、何の経験にもつながらない時間を、何年も過ごしている。
これは「夢追いタイプ」の典型的な例です。
高い志を持って医師を目指しているならまだいいのです。
医者にならなければ親に認めてもらえない、と考えていると感じる話しか聞けません。
「とにかく大卒じゃないと、ろくな仕事につけない」と浪人を続ける。
「公務員でなければ」と何年も受けて落ち続ける。
バイトなどの寄り道は拒否して、目指す夢だけに向かいます。
大卒じゃなければ、の根拠はメディアからのイメージだけだったりします。
公務員の理由も、「安定」「人の役に立つ仕事」といったどこかで聞いたようなものしか出てきません。
「もっと自分に合うところがあるはず」
こう言ってせっかく働き始めたのに辞めてしまうのも、「夢追いタイプ」です。
すぐ他と比較し、認めてもらいたいという気持ちが強いのも特徴です。
具体的でない根拠で何かを目指し、その夢にこだわりつづけるのです。
「夢追いタイプ」は、少ない経験の中で育まれた、狭い価値観を持っています。
バイトなど社会体験も拒否する場合が多く、ますます価値観は広がりません。
狭い価値観でイメージした夢を追うから、うまくいかないのです。
解決法は、価値観を変えていくことです。
いろんな体験をさせ、いろんな話を聞かせてみましょう。
違う価値観に触れて、今までの価値観を崩していきましょう。
イメージの中に、親の価値観が影響している場合も多々あります。
その価値観とは、「正社員になりなさい」だけではありません。
「好きな仕事を」「やりがいのある仕事を」もそうです。
親が思ってもいない一言が、子どもを縛り付けている場合があるのです。
親も、自分の価値観を崩すように、違う価値観に触れていきましょう。
違う価値観の場に子どもを連れていけないなら、親が違う価値観となればいいのです。
家の中に、新しい価値観を持ち込みましょう。
そうすれば、子どもはこれまでと違う価値観に触れることができるのです。
親への暴力や暴言があれば、「暴君タイプ」と簡単に見分けがつきます。
親も自分ですぐに、「このタイプだ」とわかるでしょう。
それと同時に、「隠れ暴君タイプ」と言えるような、わかりにくいケースもあります。
「隠れ暴君タイプ」は、暴力や暴言はありません。
ただ、親が子どもに恐怖心があり、言うことを聞いてしまっています。
親は、腫れ物に触るような対応をしています。
過去に暴力や暴言があったので、それが出ないようにと気をつけている場合もあります。
子どもに言われるまま食事を部屋へ運んでいるなら、「暴君タイプ」を疑いましょう。
親が、暴力や暴言を受けている、という自覚が薄い場合もあります。
夫婦間のDVの番組などで、「自分はひどいことをされている」と分かっていない、という話を聞きませんか。
DVを受けている側は、だんだん感覚がマヒして来るのです。
親子間でも、同じことが起こります。
かなりの暴力を受けているのに、そういう認識がありません。
暴力を受けながら、「親の役目だ」と思い、助けを求めません。
わかりやすい「暴君タイプ」と、わかりにくい「暴君タイプ」がいるのです。
子どもが暴君になってしまっている場合は、親は離れるしかありません。
子どもと距離を取り、介入しないようにします。
介入しようとしても、また暴力や暴言が来るだけです。
介入するのは、第三者です。
親戚や友人、引きこもり支援機関などに間に入ってもらうのです。
暴君タイプは、親子だけでの解決はあきらめるべきです。
子どもと別に暮らすなど、離れる努力をしてください。
そして第三者に相談し、介入してもらいましょう。
暴力がある間は他人に迷惑がかかるからと、おさまるまで待つ親がいます。
支援している側からすると、これは間違いです。
暴力がなくなった時は、子どもが自分の未来をあきらめてしまった時です。
第三者が介入しても、動かすのが本当に大変になります。
暴力があるうちが、解決のチャンスなのです。
食事も楽しく会話しながら一緒に取り、時には一緒に外出もする。
一見、ただの仲がいい親子です。
ですが、「働きなさい」といった、肝心な話ができていない場合があります。
それが「友達親子タイプ」です。
親は「子どもと仲良くしていたい」「嫌われたくない」と思っています。
子どもが引きこもりを脱してくれたら嬉しい、という気持ちはもちろんあります。
でもそのために子どもに嫌われるような話をするのは、避けたいのです。
親が一番その自覚がないのが、「友達親子タイプ」です。
嫌われたくない親は、無理に子どもを外へ押し出しません。
子どももそこに甘えて、ずるずると家にいます。
共依存、と呼べる関係ができあがっているのです。
「最後は私たち親が養うしかない」と言う親は、このタイプが多くいます。
逆に子どもの方が共依存に気づいていて、「親が子離れしてくれないから、僕は自立できないんだ」と言う人もいます。
将来は心配だけれど、親子の仲がいい今は、親にとっては実はそんなに悪い状況ではありません。
必死に現状を変えたいと思っている人がいないため、そのまま長期化してしまいます。
子どもが共依存に気づいて親のせいだと考え始めると、急に暴力が出て「暴君タイプ」に変わる可能性があります。
表面的には穏やかなようで、長期化や暴力の危うさがあるのが「友達親子タイプ」です。
親が友達になってしまうと、家の中に親がいなくなります。
子どもに現実を迫る役割がいないのです。
家の中に、親を登場させましょう。
子どもに依存していると、親自身が気づくこと。
それが解決への第一歩であり、最大の一歩です。
子どもに嫌われたくないと思っていないか。
嫌われるくらいなら、子どもが自分で動くのを待とうかな、と思っていないか。
親は自分の気持ちに向き合ってください。
友達親子になっていると気づき、親として子どもに向かうようにしましょう。
親として、言うべきことを言わなければなりません。
子どもへの依存を断つために、意識して子離れをしましょう。
引きこもり4つのタイプと、その解決法について説明しました。
ひとつ注意していただきたいことがあります。
親が「うちはこれだ!」と思ったタイプが、間違っている場合が多くあるのです。
お話を聞くと「友達親子タイプ」なのに、「うちはただ仲がいいだけです」とおっしゃることもあります。
ご自分では「友達親子タイプ」だと思っていても、子どもの言葉を聞くと脅迫めいており、実は「暴君タイプ」という場合もあります。
タイプを間違えると、対応も間違えてしまいます。
間違った対応で、状況を悪化させてしまう可能性もあります。
腫れ物のように子どもに対応していた親が、こちらの「なんとなくタイプですね」という判断を聞いて働くようにはっきり迫ったら、働きだしたこともあります。
親が考えているより、間違えている可能性は実は高めです。
半分近い親が間違えているのではないか、と思えてしまうほどです。
親は自分だけでタイプを判断せず、客観的な外の意見を聞いてみてください。
子どものタイプを正しく判断してこそ、この解決法は意味があるのです。
引きこもりの対応で、「子どもを信じて待ちましょう」とよく言われます。
待つのは1年までにしてください。
それを過ぎたら、外側からの働きかけが必要です。
引きこもって1年を過ぎたら、子どものタイプに合わせて親が行動します。
引きこもりには4つのタイプがあり、解決法もそれぞれ違います。
「なんとなくタイプ」は、引きこもっている理由がはっきりしません。
お友達がいる場合も多く、何かやらせると出来ないわけでもありません。
「めんどくさい」と言って行動ぜず、子ども自身は困っているようには見えません。
「なんとなくタイプ」の解決法は、期限を決めて強く押し出すことです。
家族会議を開き、「あと2か月でバイトを始めなければ、○○という所に行ってもらう」などの決定をして、「めんどくさい」と言えないようにしてください。
期限とできなかったら何をするかは必ず決め、ゆるがないでください。
親の本気が伝わるかが、成功のポイントです。
具体的でない根拠で何かを目指し、その夢にこだわりつづけるのが、「夢追いタイプ」です。
医者、公務員、大卒などの、特定の資格や大学、仕事をいつまでも目指します。
バイトなどの寄り道は拒否し、何年もその夢だけを追います。
でもその夢の根拠は、メディアなどで聞いたような話しか出て来ません。
「もっと自分に合うところがあるはず」と仕事を辞めるのも、このタイプです。
「夢追いタイプ」は、狭い価値観で見つけた夢を追うため、うまくいきません。
解決法は、価値観を変えていくことです。
いろんな体験をさせ、違う価値観に触れて、今までの価値観を崩していきましょう。
親の価値観が子どもを縛り付けている場合があります。
親も違う価値観に触れて、家の中に新しい価値観を持ち込みましょう。
親への暴力や暴言のあるのが、「暴君タイプ」です。
暴力や暴言はなくても、親が子どもに恐怖心があり、言うことを聞いてしまっている、「隠れ暴君タイプ」もいます。
親の感覚がマヒして、暴力や暴言を受けている自覚が薄い場合もあります。
「暴君タイプ」は、第三者に任せるしかありません。
親子だけでの解決はあきらめ、親は子どもと距離を取り、介入しないようにします。
介入するのは、親戚や友人、引きこもり支援機関など、第三者です。
暴力がおさまるまで第三者への相談を待つのは、間違いです。
暴力があるうちが、解決のチャンスなのです。
親子が友達のように仲がいい、でも肝心な話ができないのが、「友達親子タイプ」です。
「子どもと仲良くしていたい」「嫌われたくない」と親は思っています。
親は子どもに嫌われそうな肝心な話はせず、子どももそこに甘えています。
親子が共依存の関係になっているのです。
多くの親が子どもに依存している自覚はなく、ずるずると長期化しがちです。
子どもに急に暴力が出て、「暴君タイプ」に変わる可能性があります。
「友達親子タイプ」は、親が子どもへの依存に気付くことが解決の第一歩です。
自分の気持ちに向き合い、依存を自覚して、友達から親になりましょう。
親として、言うべきことを言わなければなりません。
子どもへの依存を断つために、意識して子離れしてください。
最後に、ひとつ注意してください。
親が考えるわが子の引きこもりタイプが、間違っている場合が多くあります。
タイプを間違えると、対応も間違えてしまいます。
親は自分だけでタイプを判断せず、客観的な外の意見を聞くようにしてください。
子どものタイプは4つのうちどれなのか、正しく判断して、解決へつなげましょう。
ニュースタート事務局スタッフ 久世
同じ引きこもり・ニート状態であっても、その状況はそのご家族によってみな違います。
ニュースタート事務局では、ニート・引きこもりの解決のために、あなたの息子さん・娘さんに最もよいと思われる方法を、豊富な経験からご提案いたします。
認定NPO法人ニュースタート事務局スタッフ。青山学院大学理工学部卒。担当はホームページや講演会などの広報業務。ブログやメルマガといった外部に発信する文章を書いている。また個別相談などの支援前の相談業務も担当し、年に100件の親御さんの来所相談を受ける。
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