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親に守られてるけど奪われてる気がして─35歳・10年ひきこもり・Oくん

親離れしたニート
  • Oくん
  • 35歳・男性
  • 引きこもり期間:約10年
  • 集中訓練プログラム終了間近

大学の単位取得がぎりぎりで、就職活動をしないまま卒業。
大学時代から続けていたアルバイトを5年ほど続けていたが、
退職してから引きこもった。

引きこもった理由

引きこもった理由を教えてもらえますか?

対人関係が学生の頃から得意でなく、他の人が怖く感じて、コミュニケーションを取る事が難しくなったという感じです。

大学時代の人間関係はどんな感じでしたか?

卒業をできる程度には、コミュニケーションを取る事はできていました。

何か大きな出来事があって引きこもった、というわけではなかったのですか?

あったと言えばあったのかもしれないですが、色々積み重なっていったのかなと思います。


引きこもっていた頃

生活の様子

アルバイトを辞めてから、
10年くらい引きこもっていたOくん

引きこもっていた10年間は、家では何をしていましたか?

インターネットを見たり、テレビを見たりしていました。

外で働くことと家にずっといることは、どっちが嫌でしたか?

親とのコミュニケーションがあまりなかったので、家にいること自体は、居づらいと感じてはなかったです。

バイトを辞めてから就職活動はしていましたか?

仕事は探してはいたんですけど、調べるばかりで・・・

親との関係

家に引きこもっていた期間は、親御さんに何か言われましたか?

時々言われたりはしましたが、そんなに強くは言われなかったです。

引きこもっていた10年間に、親御さんにして欲しかったことはありますか?

親と離れて暮らした方が、親と自分の両方にとって良かったのではという気が今はしています。

親御さんも良かれと思って面倒を見てくれたと思いますが・・・

家にいたら自然とご飯も出て来るし、自分で何かやらなくてはいけない事もないし、守られてるけど、奪われてる気がして

振り返ってみると、それは自分のためにならなかったのかな・・・

家を出るまで

集中訓練プログラムに参加したきっかけは?

親の勧めでニュースタートの資料をもらって、自分で費用のことを調べたら出てきたので・・・

プログラム参加はすんなり決断できましたか?

あまり積極的にはなれておらず逃げ出したりしましたが、

逃げていても自分では変われないと思っていたので、ここをきっかけに動けるようにと思って来ました。

その時、親御さんに「こうして欲しかった」ということはありますか?

あまり色々言われるよりは自分で決めたかったかな、というのはあります。

新しい生活

集中訓練プログラムの様子

3ヶ月の集中訓練プログラムに参加したOくん
食事づくり、仕事体験、スポーツ・イベント、などに参加した。

食堂で料理を作る体験はどうですか?

家ではほとんど料理を作る事はなくて、料理はここに来て初めて味付けをしたりして作ったので。
料理を覚えるまでは量や時間とかを何度も失敗しましたが、3ヶ月で何とか出来てきたかなと思います。

みんなで遊びに行くイベントのような、仕事以外の体験に参加してどうでしたか?

そういう場に参加した場合でも緊張はするので、何でも話せるという感じではなかったです。

親元を離れてどうですか?

親に気を使わなくて済むという事では、離れて良かったと思います。

集中訓練プログラムは、通常の寮生活と比べて、ハードだと思います。
大変なことはないですか?

最初はやっぱり緊張とかもありましたが、徐々に慣れていって、物事を少し自分のペースで進めていける様になり、自分の事が何となく分かってきたような感じがします。

集中訓練プログラムとは

集中訓練プログラムとは、地域若者サポートステーション事業の一つです。
これまでの生活とは環境を変え、

厚生労働省から助成金が出るため、通常の寮生活より安く寮に滞在できます。
詳細は要綱をご覧ください。

サポステでお世話になって、
色々見学をして色々な働き方を見たりして参考になっています。

就職活動

サポステの担当者と相談しながら、企業の見学や仕事体験を行った

サポステの担当者はどうでしたか?

担当の方はしっかり話を聞いてくれて、色々な事を勧めたりしてくれて良かったです。

企業見学や外の企業の仕事体験に行った時に、OBがいたと聞きました。

集中訓練プログラムを卒業してスーパーの警備に就職した方がいて。
その方に寮生の話を聞いたりして、色々な所にニュースタートが広がっていて面白いなと思いました。

自分で仕事を探すのと、プログラムに参加するのは、違いますか?

自分で仕事を探す場合は情報ばかりだけですが、集中訓練プログラムの場合は実際に現場に行けるので全く違うと思います。

これから

プログラム終了後は、部屋を探して一人暮らしを始めます。

サポステで引き続き見学や体験を続けて、自分に合った仕事を見つけていきたいです。

引きこもりの親御さんへ向けたメッセージ

自分の場合を考えると、親が何度も働きかけをしてくれたことで心の準備ができたので、良かったと思います。
子どもから断られても、働きかけてほしいです。


守られてるけど、奪われてる」という言葉は、とても印象的です。

ニートや引きこもりの子どもを抱えている親御さんは、
「守ってはいるけど、奪ってもいないか」 
とご自分を振り返ってみてください。

良かれと思ってしていることが、子どもを動けなくしている可能性もあるのです。

若者講演会「働けなかった僕たちの本音」より

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