責任感が強く、真面目なOくん。
九州から入寮してきました。
引きこもっていた理由を教えてください。
中学ぐらいまでは野球部に入って、一緒にやってたんですけど。
高校入ったあたりから勉強について行けなくなっていて、段々と学校に行くのが嫌になってきたんですね。
それで2年に上がる前ぐらいに高校を辞めてしまいまして。
そこから4年くらい引きこもってて。
21歳の時にこのままじゃちょっとまずいなと思って、色々とアルバイトを探して工場の方で働き始めたんですけど。
引きこもっている時は親に何か言われましたか?
親には、ごくたまになんですけど、「どうすんの、どうすんの」みたいに聞かれてたんですけど。
まあちょっと無視してまして。
その間インターネットとか、そういうのばかりやってました。
家の周りには遊べるような所はありましたか?
いや、あまりなかったです。
田舎の方なので・・・
おこづかいはもらっていましたか?
全然もらってませんでした。
じゃあお金がなくてもできるような・・・
ひたすらネットをしていました。
10年前くらいはちょうどリーマンショックの頃ですから、バイトもなかなか見つからなかったのでしょうか。
それは関係ないですね。
2回目の家にいる期間は、将来の事を考えたりはしてましたか?
まあ漠然と自分でもこの先どうなるんだろうなとは思ってたんですけど。
動き出す勇気がなかったです。
なかなか一歩進むきっかけを自分でも作りにいってなかったです。
逃げていた感じですかね。
家で居場所があったから居続けてしまった、という話を聞いたんですけど。
家でもたまに今後の事の話もされたんですけど、基本的には普通に一緒に食事とかもしてましたし。
そんなに言われる事もなかったので、ちょっとそこに落ち着いてしまいました。
食べるものも住む所もあって暇つぶしのインターネットもできる、という居心地の良い状況が続いてしまったので・・・
ずるずると行ってしまったと思います。
家族が一丸になってネットを切ったと聞いたんですが。
なんかある日突然、何の前触れもなくブツッとネットが使えなくなりました。
その時は、暴れたりとかはしなかったんですか?
それはもう受け入れて。
あまりそういう風に言うタイプではないので・・・
ついにこの時が来たかなという感じです。
ニュースタートに来たきっかけを教えてください。
千葉に義理の兄がいまして、その義理の兄がわざわざ九州まで来て、「こういう所があるけれど、どう?」と資料とか持ってきてくれたんです。
そこまでされるとさすがに無下には出来ないなと思って、「じゃあ、行きます」とその場で決めて、一週間後に飛行機でこちらに来ました。
その際も義理の兄はわざわざ成田空港まで来て、車で送ってくれたりしてくれて。
そうやって色々と自分のために動いてくれた人がいたおかげで、ここに来ました。
もし同じ提案を、義理のお兄さんではなくて、親や兄弟からされたらどうなっていたと思いますか?
そうですね、やっぱりちょっと拒否してたかなと思います。
義理の兄という、近すぎず遠すぎずという距離だったから、心に響いたと思います。
ニュースタートに来てから名簿リストを整理する手伝いをしてたんですけど、家族の名前がありました。
実はご家族も相談に来られていたんですね。
誰かに助けてもらいたいな、とは思ってたんですか?
自分から動き出すきっかけがなかったんで、良かったと思います。
10年ぐらい家にいたわけですが、集団生活に入る心配はありましたか?
やっぱり人とあまり関わってこなかったので、不安しかなかったです。
けど新天地でゼロからのスタートという事で、気楽でもありました。
ニュースタートの印象はどうでしたか?
毎月二回寮会議があるんですが、初めて寮会議に出た時に、当時の寮長と別の寮生がものすごいケンカを始めて。
「とんでもない所にきたな」と後悔しました。その時は・・・
個性が強い方も時にはいるので、そういう事も起こりますね。
普段は割と平和だと思います。
今はだいぶ平和なんですけど、当時は寮長の事で・・・
その時は誰も仲裁に入らなかったんですか?
みんな静観して聞いていました。
火の粉が飛ばない様に・・・
それもひとつの、人間関係の体験だと思います。
Oくん自身は、ニュースタートでどう過ごしていましたか?
自分で言うのも何ですけど、割と模範的に与えられた仕事を黙々とやって。
今月からビルクリーニングの仕事に就職をして働き始めたところです。
まあ無理ない程度にやりたいです。
Oくんはバイト先でスカウトされて、今度は正社員になるんですよね。
あまり無理しないように。すごく真面目なので・・・
若干しんどいです・・・
Oくんはその後も仕事がちゃんと続き、無事ニュースタートを卒業していきました。
現在は一人暮らしをしながら、 働いています。
「親の言うことにはNO」という話は、本当によく聞きます。
義理のお兄さんなどに説得してもらうのも、ひとつのやり方です。
同じ引きこもり・ニート状態であっても、その状況はそのご家族によってみな違います。
ニュースタート事務局では、ニート・引きこもりの解決のために、あなたの息子さん・娘さんに最もよいと思われる方法を、豊富な経験からご提案いたします。
引きこもり当事者の思いや、役に立つ情報・ヒントをお伝えします。
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