大人の引きこもりの背景にある原因や、解決するための方法をお調べではないでしょうか。
子どもは大人(成人)になっても引きこもりますし、以前から引きこもってそのまま大人になった方もいます。
未成年から20年30年と引きこもるなど、大人の引きこもりはズルズルと続きやすいため、近年話題になっている8050問題が起こるのです。
親御さんが年齢を重ねるほど将来の不安は募るばかりで、どのように自立を目指せばよいのかもわからないまま「時間だけが過ぎて」さらに悪化します。
このコラムでは「大人の引きこもり」をテーマに、その原因や対応まで詳しく紹介します。
大人の引きこもりは珍しくありませんから、現在をより良い方向に進めるためにもぜひ最後までご一読ください。
目次
大人(成人)の引きこもりは、大きく2つに分けられます。1つ目は、中学や高校の不登校などで10代のうちから引きこもり始め、そのまま成人したパターンです。
未成年のうちは、一度きっかけを掴むと、変化が早い傾向があります。
そして学校を卒業するタイミングなど、年齢で自動的にターニングポイントがあります。
引きこもりで登校できないまま中学を卒業して、合う高校に入学でき登校できるようになった。高校は不登校になったが高認試験に合格し、周囲と同じ学年で進学できたなどです。
ところが成人すると、自動的に訪れるターニングポイントがなくなります。「25歳になった」「30歳になるまでには」など、本人や家族が「ここで何とかしよう」と思うしかありません。
またバイトをしてみようにも、履歴書に高校中退としか書けないなど学歴の問題があります。
引きこもっているうちに大人になった人たちは、10代の頃に比べると、長期化しやすい状況がそろっているのです。
大人(成人)の引きこもりの2つ目は、成人して働き始め、職場での人間関係などで退職し引きこもりになったパターンです。
仕事で失敗体験があるため、次の仕事になかなか動き出せません。
子どもは、大人(成人)になってからも引きこもりになります。引きこもること自体に年齢は関係ありません。
不登校から引きこもりになったという人は、実は2割程度。この仕事を退職して引きこもりになったという人が、一番多いのです。
引きこもりになる子どもは、以下の特徴当てはまりやすい傾向があります(あくまで目安です)。
この特徴1つ1つが悪いというわけではないのですが、何かのきっかけで集団にいることがつらくなり、引きこもりになる可能性が高くなります。
こうした特徴を強く抱えたままでいると、引きこもりが長期化して大人になる、または大人になってから引きこもることは十分にあり得るわけです。
そもそも、大人の引きこもりとはいうものの「その定義は曖昧そのもの」であるのも一つの実情です。
たとえば、厚生労働省では「仕事や学校にゆかず、かつ、家族以外の人との交流をほとんどせずに、6ヶ月以上続けて自宅に引きこもっている状態」ですし、国立精神・神経センター精神保健研究所では、「引きこもりは単一の疾患・障害の概念ではない」ともあります。
つまり、さまざまな団体が独自にわかりやすくするために引きこもりを定義しているだけで、大まかなイメージを掴む参考にしかならないということです。
こうした定義に当てはまるかは重要でなく、大切なのはそれぞれが抱える引きこもりの「実態」です。
一番身近にいる人(親御さんなど)が、様子を確認して本人にあわせたタイミングや支援を見極めましょう。
引きこもりの定義の曖昧さと、何をしたらよいのかについては、以下のコラムでまとめているのであわせて参考にしてください。
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大人の引きこもりは当然、復学や就学ではなく、就労や自立を目指すことになります。
不登校から引きこもり大人になった人は、社会経験が皆無で、学歴の問題などが就労への壁です。大人になってから引きこもりになった人は、仕事の失敗体験が次の一歩への壁になります。
その他様々なケースがありますので、第三者からの支援を受けるのがおすすめです。プロのアドバイスをもらう方が、早期解決につながります。
特に引きこもりが長期化している場合、母親・父親から何か行動を起こしても、それに慣れてしまった子どもは動き出せないことがほとんどです。
そこで第三者へ相談すると、新しいアプローチ(支援やきっかけ作りなど)を試すことによって、事態が好転して引きこもりを改善できる可能性があります。
お子さんの状態によって、適切なアプローチが変わりますので、まずは相談してください。
大人になっても引きこもりを子どもが続ける原因の代表例は、以下のとおりです。
原因の特定も大切ですが、あくまでお子さんの状態を知る参考として、長期化している場合は第三者へ頼るのが得策です。
引きこもりとなっている子どもと、親御さんの関係が悪い場合には、「子どもは耳を傾けずに状態が進展しないことで引きこもりは継続」の一途をたどります。
例えば、以下の状態に思い当たる節はないでしょうか。
あくまでこれらは一例ですが、自分は「何をやってもだめな人間だ」と感じてしまった結果、自信をなくして社会から離れて過ごしているのかもしれません。
親子関係は、親御さんが思っているよりも、子どもは敏感に感じて大きな影響を与えています。「このくらいは当たり前」と思っていたが実は過干渉になっていたなど、親御さんが無自覚のことも多くあります。
長期化しているかに関係なく第三者からのアプローチが効果的です。
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子どもの不登校から大人にいたるまで、引きこもりの現状が続いているケースです。引きこもりの原因が不登校である割合は少ないですが、やはり一定数を占めます。
不登校の理由はさまざまで、学校生活や家庭生活での困難経験だったり、本人が抱えている問題がきっかけだったりします。
不登校は増加し続けていますから、そのまま成人になるまで引きこもりを続けてしまう人もそれに応じて増えているはずです。
学校に行っていないと知られたくない、外界からの刺激を避けたいなどの思いから、自らを守るために引きこもりを選びます。
不登校の理由について、もう一度考えてみるのもいいでしょう。ただし原因を究明するのではなく、これから何をすべきかに焦点を当てることが、解決の糸口となるはずです。
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引きこもり状態の子どもが、ゲームやネットに依存しているのも原因の一つである可能性があります。
ただ、引きこもりを改善するために取り上げるのは、根本的な解決策になりません。
一時的に引きこもりが改善する兆しが出ても、また別のものへと移ったり、親子関係の悪化によってさらに助長したりするからです。
大切なのは、ゲームやネットのような表面の状態ではなく、その背景にある原因を見つけて取り除くことです。
詳しくは、以下のコラムにまとめていますので、ぜひ参考にしてください。
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引きこもり状態の子どもが、精神疾患や病気・心理状態の悪化から引きこもりとなっている可能性もあります。
厚生労働省より、引きこもりは病気ではないものの、未診断の統合失調症の可能性があることが示唆されているからです。
また、適応障害や精神疾患、発達障害の病気も考えられるなどはありますが、全体で考えても3割程度となりますので、必ずしも当てはまるとは限りません。
病院に行く前に、引きこもりの専門家にぜひ相談してみてください。
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大人になってまで引きこもりが続く子どもの原因は、挙げきれないほどその背景要因によって異なります。
些細な挫折経験から自分に自信をなくしてしまったり、自分が思い描くような対人関係が構築できるに困ってしまったりとさまざまです。
引きこもりの原因については、以下のコラムで詳しくお伝えしていますので、ぜひ参考にしてください。
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ここからは、大人の引きこもりの支援・対策方法を以下にわけて解説します。
子どもが引きこもりとなり大人になった場合は、すでに長期化していることが想定されますので、親御さんだけではなく第三者の力を借りて事態をよい方向へ動かしましょう。
引きこもりが1〜2年という初期の段階である場合は、親御さん(家族)が子どもに向けて支援を行います。
どれか一つだけではなく、総合的に取り組むことで社会とお子さんを徐々に繋いでいきましょう。
ただ、引きこもって3年が経過しており、親御さんとの関係が悪化している場合は第三者への相談がおすすめです。
その場合でも、できることがあれば常にアプローチを忘れないでください。
自分の子どもの状態だけをみて、対応してもできることは限られますから、広く多くの事例を知る第三者へ相談して新しいアプローチを考えるのも一つの方法です。
その際、母親だけに限らず家族が一丸となって脱出に向けて動きだします(両親から同時にアプローチすると、どちらの親もわかってくれないとなることがあるため、役割を分担しましょう)。
それでも、お子さんの状態が改善できず、改善の兆しがない場合は第三者からの支援を受けることを検討します。
親から子どもへのアプローチでも効果がなく、それ以上の進展が見込めない場合は第三者からの支援を受けます。
引きこもりで受けられる支援は多種多様で、ニュースタートを例にすると以下のものがあります。
状態に合わせて適切な支援を受けられますので、まずはお問い合わせから現在の状況を詳しくお聞かせください。
引きこもりは、75.6%が3年以上であることが内閣府の調査で判明しています。
しかも、7年以上の割合が34.7%(同内閣府調査)と全体の3割ほどは長期化です。7年以上が70%という世代もあります。
この数字は現在引きこもっている方のものですから、さらに長くなっていくでしょう。引きこもりは、多くの人が長期化していきます。
引きこもりを長期化させないために、手早く対策に踏み出すのが大きなポイントですから、見守りは1年までと一定の期間で区切りをつけて、さらなるアプローチの検討が必要です。
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大人の引きこもりでは、10年以上続いてる可能性も十分にあり得る状態です。
そうすると、すでに親御さんからのアプローチでは大きな改善への効果が期待できず、むしろ親子関係の悪化を招いてしまう可能性があります。
そうした場合は、できることを続けながら早い段階で第三者から支援を受け、動きだす意識を持ちましょう。
大人の引きこもりが社会復帰を果たすには、ブランクが長いほど子どもが困難に感じる事柄が増えてきます。
また、受けられる支援も年齢を重ねるごとに減ってしまいますから、思い立ったときがタイミングといえます。
10年以上も引きこもりの状態が続くリスクや、どのように対応するべきかは以下のコラムでも触れていますので参考にしてください。
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引きこもりが10年以上続いている|今からできる社会復帰や対策は?
大人の引きこもりが社会復帰するためのきっかけは、子どもと向き合い・話し合うことからはじめます。
社会復帰は、以下の流れで進めていきますが、1〜2の間にその難しさを痛感するはずです。
ただ向き合い、話し合うだけでは平行線ですから、以下の子どもが抱える親御さんとの価値観の違いも意識が必要です。
実際に、引きこもりのお子さんが父親のような生き方や働き方は嫌だということは、珍しくありません。
社会復帰を目指す場合は、以下のコラムも参考にして親御さんができるアプローチからはじめましょう。ただしどうしても親子の話し合いが難しい場合もありますので、期間を決めて取り組みましょう。
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引きこもりから社会復帰する方法とは?脱出のきっかけを支援で掴もう
子どもが外出はできる状態で、働きたいという気持ちがあるなら、就労支援を受けるのもおすすめです。
大人の引きこもりから脱出するには、就労がゴールとなる場合が多いからです。就労だけが全てではありませんが、金銭面のことはどうしても考えなくてはなりません。
10代から引きこもって就労経験がない人は、まず何から取り組んだらいいかを悩むことでしょう。大人になってから仕事で失敗し引きこもりになった人でも、同じ失敗を繰り返さないためにどうしたらいいかが分からない、という人がたくさんいるはずです。
1人で悩むのではなく、プロによる就労支援を受けながら、相談しながら仕事を探すの方がいいでしょう。
親御さんも、仕事を自力で探させようとするのではなく、具体的に支援してくれる先を提示するようにしてください。ただ「働きなさい」と言う、「こんな仕事があるよ」と求人を渡すだけでは、動き出さない人が大半です。
就労支援については、こちらのコラムにまとめてあります。
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親御さんが子どもと話し合おうとしてもうまくいかない、自分で就労支援に通うこともしない。そんな時に役立つのが、訪問支援です。
引きこもりの支援では、親御さんだけが相談に行っても「本人を連れてきてください」と言われてしまうことが多くあります。
訪問支援は、まずは他人と話す練習などから始め、外の世界につながる手助けをしてくれます。
こちらのコラムでは、訪問支援で何ができるか、できないかをまとめてあります。訪問支援が子どもに適切なのか、考えてみてください。
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最後に、大人の引きこもりに関する以下のよくある質問に回答しますので、今後の参考にしてください。
大人の引きこもりは、主に機会損失が問題となりやすいです。
本来であれば、子どもから成人する間に経験する数々の機会が失われたことで、ブランクとして残ってしまっているため社会復帰のハードルもそれに応じて高まります。
今後はどのように支援を続けていくのかは、その状態にもよりますので、ぜひ以下の記事も合わせてご覧ください。
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引きこもりの相談は、ぜひニュースタートへお問い合わせください。
引きこもり地域支援センターは、行政で支援してくれる相談先ですが、どうしても支援できる範囲に限度があります。場所場所による支援内容のばらつきもあります。
またその後の流れとして、サポステやニュースタートのような民間団体の、就労支援の場を紹介されることも多くあります。
ニュースタートにはサポステも併設されており、就労や自立を目指すような、大人の引きこもりの対応が可能です。まだ就労に動き出せないという人には、訪問支援もあります。幅広い方の相談をお受けしておりますので、まずはお気軽にお問い合わせください。
引きこもりの子どもに、家族はどう対応すればいいのでしょうか?父親・母親・兄弟で、どのように対応するべきかは違います。
まず母親は、全てをしょい込まないことです。父親を巻き込んで、家族全員で問題に向き合うことを目指しましょう。適度な距離感を持ちながら子どもと接するようにしてください。
父親は、社会に出ている、母親とは違う存在です。そのことを生かし、母親には言えないような言葉を伝えるようにしましょう。母親と同じ接し方はしない、「二人目の母親」にならないようにしてください。
兄弟が引きこもる本人に直接働きかけてうまくいくケースは稀です。ご両親の相談に乗る、時にはご両親に厳しい話をするなど、主に親御さんの対応を考えるようにしましょう。
「こうすればいい」という一つの答えはなく、それぞれの役割によって、接し方は変わります。本人の状況などでも適切な接し方は違いますので、引きこもり初期の1~2年を過ぎたら、第三者に相談するようにしてください。
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引きこもりの接し方|子どもにどう対応すべき?
大人の引きこもりは、10代の不登校から引きこもりが継続し大人になったパターンと、大人になり仕事を経験してから引きこもりになるパターンがあります。
両方ともそれぞれの理由で、長期化する可能性は十分にあります。
親御さんがお子さまにアプローチしても、親御さんとの関係が悪化していたり、言われ慣れてしまっていては効果がなかったりします。
特に引きこもりの初期(1~2年)を過ぎているなら、第三者への相談で新しい風を家に取り込みましょう。
もし相談先にお困りでしたら、ニュースタートへお問い合わせいただければ、お子さんの状態にあわせて適切な方法を提案できます。
まずはこのコラムを参考に、アプローチをはじめてみてください。
同じ引きこもり・ニート状態であっても、その状況はそのご家族によってみな違います。
ニュースタート事務局では、ニート・引きこもりの解決のために、あなたの息子さん・娘さんに最もよいと思われる方法を、豊富な経験からご提案いたします。
認定NPO法人ニュースタート事務局スタッフ。青山学院大学理工学部卒。担当はホームページや講演会などの広報業務。ブログやメルマガといった外部に発信する文章を書いている。また個別相談などの支援前の相談業務も担当し、年に100件の親御さんの来所相談を受ける。
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