引きこもりの子どもが30代になってしまい、自立してほしいという気持ちだけが強くなり焦っている親御さんも多いことでしょう。
このように悩みを抱えている人のなかには、親が自分で解決しなくてはならないと考えている人もいるかもしれませんが、30代の引きこもりのお子様に対して試せる支援はたくさんあります。
この記事で、試せる支援や30代の引きこもりの実情について、参考にしてみてください。
目次
20代から引きこもり状態が継続し、30代となってもそのままの状態なのが『30代の引きこもり』の実態です。
例えば、令和3年版の「厚生労働白書」によると、厚生労働省は「~34歳」、内閣府では「~39歳」が30代のニートという括りで取り扱われています。しかし、こちらの調査で取り上げられている30代には、若年無業者から中年無業者も含まれています。そのため、すべてが引きこもりに該当するとは言えません。
そこで、ひきこもりの開始(初発)年齢(本人調査)を見てみましょう。
開始年齢は20代前後とあまり変化がありませんが、平均年齢は伸びており、いわゆる「長期化」の状態であることが考えられます。
退職から引きこもりが続く40代以降とは異なり、突然30代になってから引きこもるのではなく、20代から継続している可能性があります。
また、20代に学生から社会人への切り替わりがうまくいかず、職場での人間関係や社会に適応できずに引きこもりになったまま、そのまま30代を迎えてしまうといったことも理由の1つです。
このように引きこもり状態が長引いてしまうと、親はもちろん子ども自身まで生活がひっ迫する等のリスクが出てきます。しかし、引きこもり状態になっても実家で不自由なく生活できる場合、現状をなかなか変えられない人もいるのも実情です。
そして、たとえ社会経験があっても、30代の引きこもりは起こります。
数年前までに働いていた場合でも、こうした事例で引きこもりになるかもしれません。原因は1つではなく、さまざまな要素が絡んで起きることでもあるため、仕事をしているから問題ないという考えは通用しないのも引きこもりの大きな特徴です。
30代の引きこもりは、SNEP(スネップ)に当てはまるのかが気になっている人もいるでしょう。
SNEPとは、孤立無業者を意味する言葉です。20歳以上59歳以下の在学中を除いた未婚無業者のうち、ずっと一人もしくは家族以外一緒にいる人がいない人を指します。
中高年の男性ほどSNEPになりやすいと言われており、30代の引きこもりで未婚の場合には、当てはまるケースもあるかもしれません。しかし、支援を受けることで脱出できる可能性があります。
具体的な支援を理解し、親が第三者の支援機関と協力しながら、30代の引きこもりを改善しましょう。
30代の引きこもりに対しては、早めの支援が大切です。年齢があがるほど、可能な支援が減ってしまったり、社会復帰が難しくなってしまうケースがあるためです。
それでは、それぞれ確認しましょう。
年齢が上がれば、30代の引きこもりに対しての支援が減ってしまいます。10年以上長期化した引きこもり対策では、まず外に出てもらうことから始めなくてはなりません。
しかし、外部の引きこもり支援は34歳以下を対象としている所が多いため、年齢が上がればあがるほど外部に頼れなくなってしまいます。親が働きかけてもダメだった場合、早めに支援に入ってもらえるようにしておきましょう。
ただし、2020年4月より、地域若者サポートステーションの年齢上限が「39歳まで」から「49歳まで」に変更されました。氷河期世代支援のための期間限定の措置だと思われますが、今後変更される可能性があります。
こうした年齢によって変わる支援については、以下のページも参考にしてみてください。
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一般的に、引きこもりから社会復帰は難しいため、数日や1ヶ月程度では改善できません。また、先ほどお伝えしたように受けられる支援が減るとさらに難化するでしょう。
近年では、インターネットの普及や感染症の拡大によって、さらに引きこもりが長期化しやすい状態が整っています。年齢によって就職しにくくなり、外に出る予定もなければ引きこもりから脱出できません。
こうした状態から、引きこもりを何度も繰り返して負のループに陥ってしまう可能性があります。社会復帰を目指すために、年齢より高くなる前に支援を受けられるようにしておきましょう。
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25年間で1,600人以上の引きこもりやニートの社会復帰を行なってきたニュースタートでは、30代以上の支援もおこなっています。自分に合った仕事ややりがいを見つけるサポートを行うため、卒業生の就労率は95%以上です。
20~50代と幅広い世代との関わりをもつことで、視野や価値観の広がりが促進されるでしょう。
第三者に相談するのは「恥ずかしいこと」ではなく、引きこもりそのものを改善する大切な1歩となります。アドバイスだけでも、新しい風が吹き込むこともありますので、ぜひお気軽にお問い合せください。
親御さんのなかには、引きこもり状態のお子様が考えていることがよくわからない人もいると思います。
実際に30代まで引きこもり、ニュースタートの寮生になった人たちの言葉を見ましょう。
Kさん/38歳(15年ニート)
Sさん/38歳(8年引きこもり)
Hさん/32歳(8年引きこもり)
Nさん/33歳(6年引きこもり)
Oさん/35歳(10年引きこもり)
自分に危機感があったり、親に勧められたりといった理由で、ニュースタートの寮生になった30代の引きこもりの人たちが多いです。
担当の人やさまざまな年齢の寮生に囲まれて生活するなかで、就職したいと思ったり、寮の管理者になりたいと思ったり、気持ちに大きな変化がうまれる人が多くいます。
ふと自分に対しての疑問や焦りが出てきたとき、引きこもりを脱出しようと行動する人が、改善に向かえる人の特徴ともいえるでしょう。
30代の引きこもりでよくある疑問をまとめました。就労支援や男女差、40代での引きこもりなどについて、気になることがある人は参考にしてみてください。
それでは、それぞれ詳しくみましょう。
引きこもりの就労支援では、以下の支援が受けられます。
働く前に、どのような仕事が合っているか、自分はどのようなことがしたいのか、という分析を含め、まずは生活を改善します。そのあと、職業訓練を経て職場実習や求職活動をおこなえるように支援します。
引きこもりに対しての就労支援は、一時的に職に就けるだけでは意味がありません。
一時的に職についても、自立できなかったり再び引きこもりになってしまったりすれば、意味がなくなってしまいます。そのため、日常的な自立を促し、就職後も定着するよう支援するのです。
30代の引きこもりで男女差を調査すると、男性は70~80%、女性は20~30%です。
女性が圧倒的に少ないと感じた人もいると思いますが、男性に比べて専業主婦や家事手伝いという立ち位置が隠れ蓑になっている可能性があります。また、女性の引きこもりについては統計がなく、詳しいことがわからない点からしても、男女差が大きいとは考えにくいでしょう。
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引きこもりで40代の人に対して、支援は手遅れなのではないかと感じる人もいるかもしれません。
内閣府の引きこもりの数調査によれば、15~39歳の引きこもり(54.1万人)よりも、40~64歳の引きこもり(61.3万人)のほうが多いことが分かっています。
80代の両親が50代の引きこもりの子どもと生活している「8050問題」という言葉も、世間には随分と浸透してきました。引きこもりが高年齢化している昨今で、40代以上の引きこもりに対しての支援が求められています。
引きこもり支援の第三者機関や地域など、相談できる場所を活用すれば、40代以上の引きこもり支援も手遅れではありません。40代の引きこもりについて、具体的な原因や対策は以下のページを参考にしてみてください。
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引きこもりで30代の子どもをみて、もう手遅れなのではないかと感じている人も、安心してください。30代であっても、外部の支援機関と協力すれば、引きこもりから脱出できる希望があります。
ただし、年齢による就職活動の難しさや、支援の種類の少なさなどから、早めの働きかけが重要です。
このように考える親御さんもおられると思いますが、支援が遅れると社会復帰できない可能性があることも理解し、早めに働きかけるようにしましょう。
同じ引きこもり・ニート状態であっても、その状況はそのご家族によってみな違います。
ニュースタート事務局では、ニート・引きこもりの解決のために、あなたの息子さん・娘さんに最もよいと思われる方法を、豊富な経験からご提案いたします。
認定NPO法人ニュースタート事務局スタッフ。青山学院大学理工学部卒。担当はホームページや講演会などの広報業務。ブログやメルマガといった外部に発信する文章を書いている。また個別相談などの支援前の相談業務も担当し、年に100件の親御さんの来所相談を受ける。
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