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20代の若者の50%は自立できない

2017年11月30日

大人や仕事のモデル(見本)が少ない

 


とはいえ、「ただの人として楽しく生きろ」といっても、言葉だけではなかなか伝えにくい。

 

そこで、「ただの大人たち」と交流する機会として、「鍋会」という企画が私たちのところにはあります。

 

 

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毎週、鍋料理を囲んでお酒やジュースを飲みながら、老若男女で語り合う場です。

 

そこにはスタッフや、寮で暮らす若者だけでなく、マスコミ関係者や、子どもの引きこもりに悩んでいる親御さんや本人が来ることもあります。

 

あるいは、ニュースタート事務局に興味があって見学に来た人たちもいます。

 

参加者は毎回だいたい40~50人ぐらいでしょうか。

 

 

 

いまどきの若者は、引きこもりの経験の有無にかかわらず、大人と言えば、両親と学校の先生くらいしかろくに知りません。

 

だから仕事というと、極端な場合は会社員か学校の先生ぐらいしか思い浮かばない。

 

大人のモデル(見本)が、もっと言えば、大人を通して見聞きできる仕事や人生のモデルが、あまりにも少なく貧しいのです。

 

 

 

核家族がそれぞれ孤立して地域に住んでいるだけだから、ご近所付き合いもない。

 

昔みたいに、近所のおじさんが他人の子どもを本気で叱ったり、あるいは野球を見に連れていてくれることもありません。

 

 

 

だから、「鍋会」のように、老若男女が一緒にお酒を飲んで盛り上がっていると、若者たちも最初はかなり怖気づきます。

 

でも、彼らは若いだけに順応性が高いから、次第に面白がりだして、いろんな大人と交わる中で「人間の数だけ生き方と仕事がある」ことをゆっくり彼らなりに学んでいってくれるのです。

 

 

 

そこで普段偉そうなことを言っている私も、ときどき女性スタッフから叱られて小さくなっていたりもします。

 

「ああ、あのおっさんも実はたいしたことないんだな」と見下している寮生もけっこう多いと思います。

 

 

 

でも、それでいいのです。

 

 

 

私も若者たちにこう言います。

 

 

 

「オレはみっともない男だ。

 

61歳になっても叱られることが山ほどある。

 

だけど、そういうみっともない、ただのおっさんが、社会の中でどれくらいの事ができるのかを、おまえさんたちにも見せておきたい」

 

 

 

人間なんて老いも若きもみな、そんなものだということを、若者が理屈抜きで理解できることが大切なのです。

 

 

 

 

 

とりあえず50パーセントの自立をめざそう


 


前にも書きました、

 

 

 

「ただの人として、楽しく生きればいいんだ」

 

 

 

に続く、私の新しいキャッチフレーズが、

 

 

 

「50パーセントの自立を目指そう」

 

 

 

だということは先ほど少し書きました。

 

 

 

私がニートの若者たちにそう言いはじめたのは、二年くらい前からです。

 

まずニュースタート事務局で配る資料などに

 

「われわれは50パーセントの自立と50パーセントのパラサイトをめざす」

 

と書きはじめました。

 

 

 

その根拠は、私の地元に残った同級生たちの約30パーセントが、61歳になってみると、結局、親の遺産を食い潰して生活してきた、ということにひとつの基準があります。

 

また、経済が右肩上がりだった時期のわれわれにくらべて、いまの若者は仕事で高額な報酬を得られる可能性はやはり少ない。

 

若者側から見ても、終身雇用は崩壊しているわけですから、パラサイト率はもっと高くなるだろうというわけです。

 

 

 

ただ、50パーセントという数値の根拠はその程度のもので、けっして厳密なものではありません。

 

 

 

一方で、私のところにいる若者を見ても、「100パーセントの自立は難しいだろうなあ」という若者が正直言ってやはりいます。

 

しかし、彼らの頭の中には「自立」といえば、経済的に「100パーセント自立したイメージしかありません。

 

だから、そこでどうしても空転して苦しんでしまったり、必要以上に劣等感を持ってしまったりするのです。

 

 

 

そんな彼らの固定観念を、さらに揉みほぐしてやる必要があるのでは――

 

そう思って、「50パーセント自立論」を唱えはじめたわけです。

 

 

 


 

 

 

 

 また、講演会などで全国をまわっていて、いろんな親御さんやニートの若者と会う中で、「ああ、いまの若者たちはパラサイト世代なのだなあ」とも強く感じていました。

 

 

「パラサイトシングル フリー素材 人物」の画像検索結果

 

 

なぜなら、今と昔では経済構造がまるで違うからです。

 

 

 

私は61歳ですが、私と同年代の、企業に勤めるお父さんに話を聞くと、

 

 

 

「私たちの世代には、新卒の学生を育てて年収1000万円にする仕組みみたいなものが会社にありました」

 

 

と言うわけです。

 

 

 

ところがいまはその仕組みに乗れるのは、新入社員の中でもごく一部でしかない。

 

そもそも終身雇用自体が崩壊してしまっているのです。

 

 

 

そうなると、私のところに来るような「いい学校、いい会社」のラインから外れた若者たちに対して、私が「一日も早く立ち直って、年収1000万円の人生をめざせ」なんて叫んでも仕方ありません。

 

それは無理だという現実がすでにあるのです。

 

新卒で会社に入っても、年収1000万円の道に進めるのはもはや限られた人間だけです。

 

 

 


 

 

 

そのようなことから、いまは講演会などでも、私なりに勇気をふるって

 

 

 

「いまの20代の若者の50パーセントは自立できない」

 

 

 

と言うことにしました。

 

 

 

すると、親御さんたちには比較的すんなりと聞いてもらえたわけです。

 

とくに反発や混乱もなく、むしろ力んで発言した本人が拍子抜けするほどでした。

 

 

 

やはり、実際に企業の中にいるお父さんは、企業社会の変質みたいなものを日々実感していて、自分の息子が実際にニートや引きこもりになっている現実とあわせて、そのことにすでにぼんやりと気づいておられたのではないとかと思います。

 

 

 

そんな頃、私の友人である森永卓郎さんが『年収300万円時代を生き抜く経済学』(光文社)という本を出してベストセラーになりました。

 

 

 

昔と違って年収1000万円にたどりつけるのが、企業の構造上、少数派のものになってしまった以上、当然もうひとつの生き方も確立されなければいけない、というのです。

 

 

 

現実問題として、ニュースタートを卒業した若者で、社会で働きはじめた者の多くが派遣社員です。

 

彼らなりに仕事のやりがいを考えて、それぞれ元気に働いているようですが、給料はそうじて20万円前後です。

 

森永さんがいう300万円よりさらに低い。

 

 

 

そうなると、父親世代のように、年収1000万円、東京郊外の一戸建てマイホームに、子ども二人を大学に進学させる程度の教育資金の貯蓄なんて、到底無理です。

 

 

 

「20代の若者の50パーセントは自立できない」

 

 

 

実際にそういう時代が近づいているのです。

 

 

「希望のニート」二神能基著 2005年6月2日刊行 より

 


 

 

このテキストは株式会社東洋経済新報社(以下「出版社」という)から刊行されている書籍「希望のニート」について、出版社から特別に許諾を得て公開しているものです。本書籍の全部または一部を出版社の許諾なく利用することは、法律により禁じられています。

 

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