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【働けなかった僕たちの本音】寮生Kくん(38)「親の言う事は自分の選択肢に入れない」

2018年5月24日

 

ひきこもり・ニートの若者講演会「働けなかった僕たちの本音」を行徳センターにて開催しました。

 

講演会に参加した若者から、今回は現役寮生Kくんの話を抜粋しました。

 

38歳という、比較的高い年齢のKくん。

(寮生には40代もいるので、最年長ではありませんが)

穏やかで落ち着いた印象の寮生です。

この講演会では、丁寧に自分の心情を話してくれました。

 

 

DVC00034.JPG


 

 


 

 

 

――引きこもっていた理由を教えてください。

 

大学までは普通に学生をしていて、3年位までは行っていたんですけど。

職活動の時に周りとの違和感を感じまして。

どうも自分の感覚と周りの信じている感覚にずれがあるんじゃないかという事で、大学を退きました。

 

それから物の見方というか自分の中の常識を洗い直すという期間がありまして。

大学を辞めて29歳位までは、ちょっと人付き合いを避けて過ごしていました。

 

外から見ていると引きこもりに見えたのかもしれないですけど、僕としては凄く自分の興味ある事をずっと続けていて。

充実感はずっとあったので、完璧な引きこもりかどうかわからないですけど。

ちょっときっかけがあって、29歳から働く事になりました。

 

お金が貯まれば家を出て行こうかなという感じはあったんですけど。

33歳の時に倉庫の仕事で体を壊しまして。

そこから6年間位働けなくなってしました。

 

――働いていない時に、親から何か言われましたか?

 

サポステなんかも使ってましたけど。

「そういう支援機関みたいなところに行ってみたりしたら」と親に言われたんですけど。

親の勧めは拒否していたところがあったので、親から言われた事は考えには入れませんでした。


親の言う事はずっと当たり前だと思っていましたが、大学の時にちょっと上手くいかなかったので。

親の言う事は絶対に自分の選択肢に入れないでおこうと思って、ずっと自分の考えを整理してきました。

自分がだいぶ世間の常識からは距離を置いていたところもあったので・・・

 

――その時は友人とか、人とのコミュニケーションは取っていましたか?

 

全くなかったです。

それが必要な時間だったとは思うんですけど。

 

自分が当たり前にしている事と人から聞いた事との折り合いが、自分の中で整理がつかなかったので。

一旦、人と距離を取る必要があったので。

そういう形で過ごしたかった。

一人は苦ではないので。

 

――「大学を出て正社員として働く」という、世の中の常識とされるような事と、自分の中の価値観の折り合いがつかなかったという事ですか。

 

それ以前に、何でみんなスーツ着て働きに行けるんだろう、という問題が大きかったです。

 

――動き出したきっかけをおしえてください。

 

働き出したきっかけは、自分の中の考えが整理し終わって、自分がどういう事が出来るか、という事と向き合わなければいけない時期に、身内に不幸がありまして。

その時にお見舞いに行きたいんですけど、行くお金が手元にないと何も出来ない、という事を嫌というほど思い知らされて。

それがきっかけでアルバイトを探して働きに行ったのが一つです。

 

それからもバイトはちょこちょこと出来る様になったんですけど。

体を壊してからは気持ちもどんどん崩れていくので、働けない期間が6年ぐらいありました。

 

その後に父親が定年になりまして、父親が急にお金の心配をしだすと、父親は家の中で支配的な存在なので、父親が乱れると家族も焦ってきて、母親もちょっと気持ちのバランスが崩れて入院をしまして、僕と父親が二人で過ごさなければならなくなったんです。

 

今まであまりコミュニケーションを取ってこなかった親子なので、凄くぶつかり合いがあって。

僕も体は壊れてるわ、気持ちは崩れてるわで。

そういう感じで二人で1ヶ月ほど過ごさなければいけない期間があったんです。

 

そういう中で苦しんで、体もかなりきついんですけど、整骨院を探して針を打ってもらって、見切り発車で働き始めたのが2ヶ月ぐらい。

そんな感じで何とか父親と顔を合わせない様にして、体を回復させない事にはどうにもならない、というのが一番のきっかけだったと思います。

まあ居づらかったんで。

 

ニュースタートは母親の方にも話も行っていて、「行ったら?」という話をしてたんですけど。

「自分で出来る」という事を信じてたんで、選択肢に入れないで自分でやろうとはしてたんです。

それでも父親とのぶつかり合いで持たなかったので、結局1ヶ月前に母親に頼んで、ここに来ました。

 

――K君のお母さんは、講演会にも何度か来られてましたね。

 

昨年の二神先生の講演会に行って。

その時に母親が「(母親が)K君の事を大事にしているけれども、それがいけないんじゃないか」と二神先生に言われたらしくて。

「私は関わらない様にする」と言っていました。

 

それで、(ニュースタートが四国で運営している)お遍路ハウスで世話になる事になって。

一月に入院をした後にまた一月に四国へ行く事になったので。

二回目に父親と一緒に暮らさないといけないと解った時に、もう駄目だと思ってこっちに来たんです。

 

――誰かに助けてもらいたいと思うよりは、自分で何とかやろうとしたけれど、段々自分の周りの環境や状況が変わってきて耐えられなくなって、という事ですよね。

お母さんがK君に子離れをする宣言をしたという事ですけど、親からそういう言葉が出てきた事についてはっとしたという様な感じですかね。

 

昔から母親に「過保護だ」という事は僕からは指摘していたんですけど。

母親は僕が長男で最初の子供なんで、思い入れが強かったみたい。

母親の心の整理の方も、僕が家を離れる段階で必要だったのかなと思います。

 

――過保護というのは、具体的にどういうところから感じましたか?

 

いらないと言っているのに、衣類を勝手に買ってきたりとか。

使わないと言っているのに、色んな物を用意したりとか。

 

僕も似た様なところはあるなと最近自覚はしてるんですけど。

母親には似たと思いますけど。


結構お節介なんで、解るのは解るんでありがたいのはありがたいんですけど、やっぱりちょっとやり過ぎかなと。

色々な物を先々用意してくれる様な人なんです。

 

――先回りして、色々失敗しない様にだとか・・・

 

そういうのは、大学を辞めた後は一旦離れて、ずっと拒否はしてたんですけど。

 

――今の生活について教えてください。

 

入寮してから今月でもう7か月目になるんですけど。

背骨が圧迫されて凄く痛い様な状態が続いたので、最初のうちは体を良くする事に努めました。

こちらに来て個人的にスタッフの方に整体を紹介されて、それのおかげでだいぶ楽になって、だいぶ日常生活を送れる様になりました。


ちょっと体を治していけたらなと思ってたんですけど、ちょっと長く掛かりすぎて。

体は半年位で治ると思ってたんですけど、中々まだちょっと治ってないんですけど。

もうちょっとしたら働けるかなと。

 

今、若者の就労支援の『サポートステーション』という所に登録して、こないだ企業の職場の体験にも行ってきて。

働こうという感じで、体もある程度使えるかなという感じなので。

今は担当と面談しながら、ちょっと仕事先を考えるかという段階まで来ています。

 

――ニュースタートが運営している就労支援機関、『いちかわ・うらやす若者サポートステーション』ですね。

ニュースタートで印象的だった事とか、びっくりした事とか、先輩とか見てて何か思ったりした事とかはありますか?

 

各人それぞれなんで。

でも全員問題を抱えているので、それぞれ向き合うしかないかな・・・と思った時は、個々で自分の事に集中出来るというのはあると思います。


寮生活というのは20人位で寮で生活してるんですけど。

会いたくなければ部屋に閉じ籠っていれば、引きこもるのはあまり良くないんですけど、部屋にいるのは一人で楽には過ごせますし。

部屋の外へ出たらいてワーワーとしているので、自分でバランスを取りながら生活出来るという感じで。

だいぶ楽には過ごさせてもらってます。

 

――寮に入る前と入った後のギャップなどはありましたか?

 

悩みがないという事です。

一人で頑張ろう、一人で頑張ろうとしてたんで。

こっちに来ると誰かしらが話かけたりするとそれだけで助けになるので、気持ちの中でずっと揉まれているという。


最初は少し人疲れしたんですけど。

今は凄く人と楽に話したり出来るし、土曜になると色んなタイプの人も来たりすると思うし、子供と遊べたりするし。

そういうところがすごく楽しいと思います。

 

――これからしてみたい事はありますか?

 

ある程度体が治ったら働いて、自由な生活を始めたいな・・・というところです。

 

 

 


 

 

 

冷静に自分のことを見つめ、表現しているKくん。

親の話になると、親の言うことは聞かないという言葉や、母親の「過保護さ」を指摘するなど、少しイメージが変わります。

 

その母親が過保護を自覚し、息子から離れる決断をしたことが、Kくんを動かしました。

 

身体面との付き合い方はまだ苦労しているようですが、次は就活に向けて動き出してくれればと思います。

 

 

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